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シンガポール国内マーケティングで押さえておくべきポイントは?

東京23区とほぼ同じ面積という小さな国土でありながら、東南アジアの交易・経済拠点として発展しているシンガポール。東南アジア進出に向けたテストマーケティングにも最適と言われ、世界から注目が集まる国で、今効果的なマーケティング戦法とは?

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シンガポール国内マーケティングで押さえておくべきポイントは?

東南アジアの中でも先進国として成長を遂げているシンガポール。国内で英語が通じることや、より国際競争力を高めるために法人税率の軽減税率適用など税制優遇措置をとっていることもあり、今、日本のみならず世界のグローバル企業が多く進出してきています。

東南アジアのハブとしても注目され続けているシンガポールに進出する際には、どのようなマーケティングが効果的なのでしょうか。

ソーシャルメディアエージェンシー「We Are Social」の調査では、2023年初頭でインターネット普及率は96.9%、ソーシャルメディアユーザーは87.4%と、ほとんどの国民がパソコンやスマホなどを利用していることがわかります。

マーケティングにおいてもやはり、SNSの活用は欠かせないものとなっているようですが、現地の実態を隣国マレーシアのスタッフ・ヌルルに詳しく聞いてみました。
We Are Social & Meltwater (2023)、「デジタル 2023 シンガポール」、2023年2月9日より

 

SNSでは文章を読ませる投稿より耳で聴く投稿

クリスク
クリスク

「We Are Social」の調査では、2023年初頭のシンガポールの16〜64歳のインターネットユーザーのうち、Facebookの利用者が76.4%、Instagramが64.4%、TikTokが45.8%となっています。

Facebookも依然としてユーザー数が多いようですね。

Nurulさん
ヌルル

はい。先日、シンガポール人インフルエンサーと話したときにも、多くのインフルエンサーはInstagramへの投稿がメインになっているものの、Facebookユーザーもまだ多いので広告は効果的だと聞きました。

また、シンガポール人は日中忙しく動き回っている人が多いので、移動中や仕事中にイヤホンで気軽に聞けるようなショート動画の投稿のほうが人気とのことです。

クリスク
クリスク

文字を読んだり動画をじっくり見たりというよりも、ラジオのような感覚で音声を聞ける投稿ということですか?

Nurulさん
ヌルル

そうですね。夜ゆっくりしている時間には写真投稿を見ることも多いですが、日中はみんなせかせかしているので。マレーシアからシンガポールに行くと、エスカレーターが速くて、スマホを見ながら乗っていると転びそうになるんです。

クリスク
クリスク

日中の生活スピードに合わせるなら、目で見るものよりも耳で聞く投稿のほうがリーチしやすいということですね。

Nurulさん
ヌルル
クリスク
クリスク

当社の中国人スタッフから見ても、シンガポールはせっかちなイメージがあると言います。

Nurulさん
ヌルル

ですから、広告でも結論を先にドンと出すのがよいと思います。たとえば「このクーポンを持っている人は、この期間に○%オフになります」と伝えたい場合なら、まずはドンと「○%オフ」を大きく出すということです。

クリスク
クリスク

「結局どうなるのか」を数字とセットで先に出すのがいいということですね。

一方、WhatsAppのユーザーも83.2%、Telegramも48.1%と、メッセージ系アプリも高いユーザー数になっていますが、マーケティング活用はできそうでしょうか。

Nurulさん
ヌルル

WhatsAppやTelegramは、あくまでもコミュニケーションツールとして使われているので、広告としてはあまり魅力がないですね。

WhatsAppのコミュニティ機能を使っている企業もありますが、広告としてはあまり運用されていないと思います。

クリスク
クリスク

では現状では、SNSならFacebookやInstagramを主戦場として、音声をしっかり入れたショート動画がポイントとなるということですね。

「Singapore exclusive」など限定アピールがポイント

クリスク
クリスク

シンガポールで注目されやすい海外からの商品について、たとえば安いものがいいとか、質が重視されるといった傾向はありますか?

Nurulさん
ヌルル

シンガポール人はブランド志向が強いんです。

また、洗練されたものを好む傾向があります。ですから、たとえば中古ブランドを売るとしたら、ブランド品であることに加えて、「中古」という言葉よりも「アンティーク」などと言い換えて伝えるとササりやすくなります。

クリスク
クリスク

品質もしっかり見極めて買う人が多いのでしょうか。

Nurulさん
ヌルル

はい。ちゃんと本物であることが証明できることや、ブランドそのものの信頼性が重要です。

その点では、メイド・イン・ジャパンの商品には信頼が置かれていますので、有利ですよ。中古ブランドを売るなら、「日本人の目利きがしっかり確認をして売っています」といったPR動画などは効果的だと思います。

クリスク
クリスク

ブランド志向が高いとなると、限られた人しか買えないような商品というのも注目されやすいのでしょうか。

Nurulさん
ヌルル

そうですね、「限定品」とか、「この情報を見た人だけ」といったワードは効果的だと思います。東南アジアの複数の国に進出していたとしても、「シンガポール限定」と特別扱いされるのも好みますね。

クリスク
クリスク

そのあたりも、国民性があるんですね。

Nurulさん
ヌルル

マレーシアから独立した国であることと、中華系が多いという背景が合わさって、「マレーシアや中国と同じように扱われたくない、私たちはシンガポール人だ」というアイデンティティを強く持っているんです。

そのため「シンガポール限定」という言葉は目を引きやすいはずです。

クリスク
クリスク

そういったプロモーションの具体例はありますか?

Nurulさん
ヌルル

「Singapore exclusive」という言葉を使っている会社はいくつかありますよ。実はマレーシア人も、その商品を入手するためにシンガポールに行ったりするんです。

クリスク
クリスク

近隣諸国の人にもササる可能性があるということですね。では、インフルエンサーが情報発信する場合も、どんなキャラクターの人を選ぶかは重要ですか?

Nurulさん
ヌルル

シンガポールは信用性を大切にするので、健康的で信頼できるイメージの人が好まれます。ただ面白いことをやって注目を浴びている人ではなく、言葉選びや雰囲気が安心できる人がいいですね。

「日本で価値が置かれているもの」をアピールする

クリスク
クリスク

他に、シンガポールの国民性だからこそカギになりそうなマーケティングのポイントはありますか?

Nurulさん
ヌルル

コスパやタイパを気にする人が多いので、たとえば飲食店なら「日本から食品を直輸入して、日本人シェフが作っている」ということをPRすると注目されやすくなります。

「日本に行かなくても、ここで現地と同じものが食べられる」と考えるからです。

クリスク
クリスク

食品でも、日本のものは人気なのでしょうか。

Nurulさん
ヌルル

シンガポール人は訪日リピーターが多く、日本に1カ月以上滞在しながらインターネットで仕事をする、という人も最近は増えています。ですから、日本のものは信頼度も高く人気なんです。

シンガポール国内で食品を売るなら、「日本のレストランでも使われている」「銀座のお寿司屋さんが使っている」といった言葉は購買欲をそそりますよ。

食品以外にも、化粧品なら「日本のインフルエンサーの間で流行」のような言葉がいいと思います。

クリスク
クリスク

日本のトレンドや、日本で価値があるとされているものを好むということですね。

先ほど、「○%オフ」というように結論を先に出すとよいと言っていましたが、プロモーションの際には数字を出すこともポイントになるのでしょうか。

Nurulさん
ヌルル

数字は大事ですね。ドラッグストアなどのお店でも、数字でPRしている商品をよく見かけます。

日本の商品であれば、「日本で3秒に1個売れている」「日本人の9割が使っている」というように、数字を使うことをおすすめします。

商品によってはマレーシアなど近隣国も視野に

クリスク
クリスク

「Singapore exclusive」という言葉を見て、マレーシア人もシンガポールに買い物に行くとのことでしたが、シンガポールにおけるプロモーションでは近隣の国もターゲットに入れたほうがいいのでしょうか。

Nurulさん
ヌルル

売るものによると思います。

たとえば航空券を売る場合だと、マレーシアの中でもクアラルンプールの人ならそこから直行便で日本に行ったほうがラクですが、マレーシア南部に住んでいれば、シンガポールに移動してから日本への直行便に乗るケースも多いです。すると、マレーシアにも広告を波及させたほうがいいということになりますよね。

でも、単価の安い日用品などを買いにシンガポールまで行くということはないので、広げる必要はなくなります。

クリスク
クリスク

日用品や化粧品などは、いくら「Singapore exclusive」だとしても、わざわざ国境をまたいでまで買いに行かないということですね。

Nurulさん
ヌルル

ファッション系のブランドなら、好きな人は買いに行くと思いますよ。

最近見かけたものだと、日本のスニーカーブランド、Onitsuka Tigerが新しいコレクションを発売したのですが、東南アジアではシンガポールでしか手に入らないので、他国から買いに行く人がいます。

クリスク
クリスク

コレクションする人がいるようなアイテムなら、近隣国に広げるのがポイント、と。

Nurulさん
ヌルル

特にマレーシアからは、毎日30万人以上の人がシンガポールに行っています。地理的にも日常的にシンガポールに行けるので、働きに行く人も多いです。

そのため、シンガポールのマクドナルドがハラル(イスラム教の人でも食べられるもの)対応をしただけで、かなり売上が上がったんです。ですから、マレーシア人は意識しておくとよいと思います。

クリスク
クリスク

民族構成では中華系が7割以上ですが、マレー系も意識しておくとよさそうですね。

国民の大半がMRTで移動、交通広告は効果大!

クリスク
クリスク

マーケティングにおいて、SNS以外の方法で効果的なものはありますか?

Nurulさん
ヌルル

交通広告は無視できないと思います。

シンガポールは車を持っている人が少なく、日本の総務省統計局「世界の統計2022」によれば、バスや貨物車、二輪車も含めた自動車保有数は1000人あたり146台です。

日本は1000人あたり613台なので、比べるとかなり少ないですよね。一方で、公共交通機関が発達していて、多くの人が鉄道で移動します。

クリスク
クリスク

自動車が少ないのはどんな背景があるのですか?

Nurulさん
ヌルル

国土が狭いので、渋滞しないように政府が車の総台数が増えないようにしているため、税金がかなり高く、高速料金もパーキングも高いんです。

週末しか運転できない制限がかかった車もあって、登録するときには「週末用」と申告します。とにかく保有するとかなり高額が必要になるので、みんな公共交通機関を使っています。

クリスク
クリスク

そのため、駅や電車内の広告を目にする機会が多い、と。

Nurulさん
ヌルル

シンガポール市街地のほぼ全域が、MRT(Mass Rapid Transit)という鉄道でカバーされていて、MRTの駅構内にはさまざまな広告が出ています。

ユニークなものも多く、私が印象的だったのは旅行会社の広告です。見た人が旅行したい国を選んで、色分けされたポストイットにその国名を書いて広告に貼っていくという、消費者参加型のものでした。

クリスク
クリスク

なるほど、他の人がどこに投票しているか気になってつい足を止めてしまいそうですし、企業側にとっては市場調査も兼ねられて、面白いですね。

でも、忙しなく動いているシンガポール人でも交通広告に足を止めるんですか?

Nurulさん
ヌルル

そこもまた国民性で、アクティビティ系のものには積極的に参加したがる人が大勢います。音楽が流れていたら自然と踊り出すようなノリのよさがあるんですよね。

クリスク
クリスク

それなら参加型の広告は良さそうですね。

他にもユニークな広告はありますか?

Nurulさん
ヌルル

乗り換え駅では距離が遠くウォーカレーター(動く歩道)がよくあるのですが、そこを歩きながら順番に見ることができる、ストーリー性のある広告もあります。

クリスク
クリスク

それは退屈しませんね。MRTの駅構内以外ではどうでしょう。

Nurulさん
ヌルル

MRT車内のモニターで流せる動画広告もあります。多くの人はイヤホンで音楽などを聴きながら電車に乗っていますが、降車駅や、今どのあたりかを確かめるためにモニターは頻繁に見ますから、目につきやすいですよ。

クリスク
クリスク

MRT広告は効果が高そうですね。自家用車に乗る人が少ないなら、タクシー広告はどうなのでしょうか。

Nurulさん
ヌルル

アナログですが、タクシー車内にクーポン券を置いておく方法も、まだ効果的だと思います。

コスパが重要視されるので、キャンペーンやクーポンなどの特典は好まれるんですよ。実際にその店に行くかどうかは別として、とりあえず手にとる人が多いと思います。

クリスク
クリスク

そこにも、「10%オフ」とか「このチケットを持っている人100人限定」などの文言があるとよいかもしれませんね。今回はシンガポールならではのマーケティングのコツがよくわかりました。ありがとうございました!

まとめ

多民族で構成される都市国家という特徴を持つシンガポール。その国民性や生活事情に合わせ、さらに近隣国も視野に入れつつマーケティングをするなら、「Singapore exclusive」というキーワードや、製品や技術への信頼性を打ち出すこと、また交通広告が有効だということがわかりました。

SNSマーケティングにおいてもこうしたポイントを押さえつつ、音声で楽しめるようなショート動画や、信頼感のあるインフルエンサーの起用などが効果を生み出しそうです。

クリスクでは、現地スタッフによる各国の調査を踏まえたWebマーケティングをご提案しています。もしSNS運用やWeb広告運用の案件があれば、お気軽にお声がけください!

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

東南アジアにおけるSNSを活用したマーケティングをサポートします。お気軽にご相談ください。

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タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシア…etc.東南アジアを中心とした地域でのプロモーションを実施しています。

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この記事を書いたのは

東南アジア・東アジアのマーケティングに携わり12年!
タイから始まりベトナム・マレーシア・インドネシアにもオフィスを構え、現地メンバーと日本のディレクターチームとで東南アジア・東アジアでの集客・プロモーションを支援しています。

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