中国文化観光省の発表によると、2024年5月1〜5日の労働節(メーデー)では2億9500万人が国内旅行をし、国内旅行支出は前年比12.7%増となる約1668億元(約3兆6000億円)に上りました。
若者の失業率が上がり、デフレが続くなど課題を抱えている中国経済ですが、国によるコロナ感染対策が緩和などもあり、最近は国内旅行の需要が高まっているようです。
中国出身のクリスク・ジャパンのディレクターである田(デン)曰く、中国国内の観光需要の伸びにはSNSを使ったプロモーションも寄与しているそう。
訪日中国人向けプロモーションに応用できるSNS施策やSNS外の施策はあるのか、田が紹介する事例を見ていきましょう。
山東省・ズーボー(淄博):バーベキューがSNSでバズって人気観光地に
山東省にある人口約470万人の町、ズーボー(淄博)。これといって注目されることもなく、人口減少や高齢化が進む田舎町でしたが、2022年から突然観光客が押し寄せるように。
ズーボー人気に火を付けたコンテンツは「烧烤(シャオカオ)=バーベキュー」だといいます。
黒龍江省・ハルビン:住民たちの「おもてなし」がSNSでも話題
中国の最北端にある町、ハルビン。シベリア鉄道開発時にロシア人技術者が移住したことで、ロシア風の建物や教会が多いことで知られますが、こちらも2023年末から観光地として注目を集め始めているそうです。
甘粛省:真っ赤なご当地マーラータンがショート動画を中心にヒット
中国西北部、黄河の上流域に位置する甘粛省。シルクロード上にあるということで観光資源は豊富。ただ、沿岸に近い都市部からは行きづらいと思われがちな面もあり、そこまで人気が高くはなかったそうです。
まとめ:「地域IP × SNSでの動画PR × インフラ整備」が中国人観光客に効く!
今回は、数年前までそこまで注目されていなかった観光地が急にヒットした中国国内の事例を紹介してきました。やはり、SNSを中心としたオンラインプロモーションは、中国人観光客に対してもマストとなってきていることがわかります。
田(デン)によると、中国の地方自治体による観光施策の成功パターンは以下の3ステップに集約されます。
- ・ 自治体のIPを作る
- ・ 各自治体の特徴や文化を含めた観光PR動画をSNSで拡散
- ・ 同時に、地元住民を巻き込んでインフラも整える
そして中国人観光客向けへのSNSマーケティングでは、まずTikTokを押さえた方が良さそうです。さらに、拡散された動画を見た観光客の情報収集に備えて、公式アカウントなどの動線は整えておきたいですね。
クリスクでは現地スタッフによるターゲット国のインサイトの収集・分析に努め、観光地のインバウンドプロモーションを支援しております。ぜひお気軽にお声がけください!
(編集協力:大西 桃子)