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2025年のインバウンドは、混雑予想の大阪より周辺都市にチャンス!?クリスク海外スタッフ登壇レポート:後編

訪日外国人は日本の情報をどこで集めてる?今、訪日客が不便に感じることとは?クリスクの中国人・マレーシア人スタッフと、クリスクパートナーの韓国人・台湾人スタッフが、訪日観光客のトレンドや日本のインバウンド施策について語り合ったウェビナーのレポートをお届けします。

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2025年のインバウンドは、混雑予想の大阪より周辺都市にチャンス!?クリスク海外スタッフ登壇レポート:後編
15:16

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2025年02月21日に、海外進出支援ポータルサイト『Digima 〜出島〜』運営の株式会社Resorz様が主催された「海外ビジネスEXPO 2025 ONLINE」にて、クリスクスタッフ・パートナーが登壇いたしました。

「2025年、日本を旅する外国人は何を求めているのか? 〜インバウンド座談会で見えた本音と課題〜」と題したウェビナーの講演内容のうち、今回は訪日旅行客に効果的なマーケティングのポイントや、日本に望まれるインバウンド施策に絞って登壇レポートをお届けします。

 

DONG HYUN LEE 様
TAG EIGHT合同会社  CEO&CREATIVE DIRECTOR

法政大学大学院卒業後、旅行会社でマーケティングを担当。広告業界への転身後は、韓国・台湾・香港・マレーシア・インドネシア・タイ・フランス・イタリアなどグローバル市場での広告戦略に携わる。 独立後、韓国・台湾・日本のwebマーケティング〜広告代理業を展開するTAG EIGHT合同会社を設立。訪日プロモーションに協力した日本の自治体は47都道府県のほとんどに上る。
https://tag-8.com/

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Hester Lin 様
TAG EIGHT合同会社  インバウンドマーケター&旅⾏クリエイター

台湾出身・台湾育ち。2015年、インバウンド専門の広告代理店にキャリア採用され来日。台湾市場を中心としたインバウンドマーケティングに10年の豊富な経験を持ち、現在は台湾企業の海外マーケティングも支援。さらに、2023年から台湾在住の双子の姉とともにブログ・SNSを共同運営し、日本の観光・文化・ライフスタイルを発信。フォロワーや閲覧数も順調に成長中。広告業務と並行し、旅⾏クリエイターとしても活動の幅を広げている。
https://tag-8.com/
https://moomoosis.com/

AA

田 婧(Tian Jing)
クリスク・ジャパン ディレクター

上海万博で触れた世界中の技術や文化に衝撃を受け、仕事を辞め京都へ留学。中国の旅行メディア会社で富裕層向けPRを務めた後は、日本のインバウンド系広告代理店・広告制作会社を経てクリスクへ参画。観光・インバウンド×PRに携わり続ける。趣味はF1観戦。

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NURUL Asyikin(ヌルル)
クリスク・マレーシア メディアプランナー

クアラルンプール出身日本育ち。マレーシアの大学で観光学専攻後、マレーシア政府観光局→PR会社を経てクリスク・マレーシアに参画。訪日PR・観光・インフルエンサーマーケティング案件を中心に担当する傍ら、自身でも撮影コーディネーションの会社を経営している。趣味はアウトドア。

田
デン(中国)

前編では、どの国の訪日外国人も円安の後押しを受けて消費欲が旺盛であること、そして高級グルメやリゾートなどの贅沢体験や癒やしなど「コト志向」が強まってきていると伺いました。

大阪万博を新たな契機に、訪日外国人の需要を取り込んでいきたい自治体や施設関係者の方も多いと思われますが、どうやら各国の訪日観光客は「様子見」のようです。

そこで、後編では各国の訪日外国人に有効なマーケティングや、訪日外国人に望まれるインバウンド施策を探っていきましょう。

 

SNSに、訪日外国人が旅行中に知りたい情報を載せよう

田
デン(中国)

各国の訪日客は、日本の情報をいつどこで収集しているのでしょうか。

ドンさん
ドンさん(韓国)

韓国人旅行客は、宿泊施設や航空券は安い時を見計らって事前に押さえる一方で、観光地の情報やグルメ情報は、出発の1〜2日前、あるいは現地に到着してから検索するケースが多いです。訪日韓国人にとって日本は身近なため、旅行の準備にあまり時間をかけないんですよね。

日本の情報はNAVERブログやYouTube、SNSが主要な情報源であり、スマートフォンでの位置情報に基づいたリアルタイム検索が多用されます。私が実際に銀座を歩いていた際にも、韓国人旅行者が「今」その場で「近くの美味しい店」や「おすすめの観光スポット」などを検索している様子を何度も見かけました。
こうした旅中の検索に対応するためには、SNSやブログでストック型の情報を発信し、必要なときにすぐアクセスできるようにしておくことが非常に重要です。

ただし韓国では、訪日旅行に関する情報は既に飽和状態にあります。検索結果が並ぶ中で選ばれるコンテンツとなるには、視認性・信頼性・クオリティの高い情報発信や、検索意図を踏まえた有効な情報設計が不可欠ですね。

田
デン(中国)

ドンさんのお話にもあった通り、旅行中の検索行動、つまり「今いる場所の周辺に何があるのか」「どこで何ができるのか」といった即時的な情報収集が中心になってきていますね。現地での状況に応じて柔軟に予定を組み替える旅行スタイルが定着しており、そのようなニーズに応える情報発信が求められていると感じています。

中国人の検索行動に関しては、以前は検索エンジンBaidu(百度)が中心でしたが、近年では「小紅書(RED)」の存在感が非常に高まっています。REDは、いわば中国版InstagramのようなSNSアプリで、ユーザーが観光地の口コミや写真、ルート情報などを気軽に検索・保存することができるんです。

訪日旅行の計画においても、中国の若年層を中心に、REDで「日本観光」「おすすめルート」「体験」などのキーワードを検索し、気になる投稿を保存・共有する動きが活発化しています。口コミの重要性はもちろん変わらずありますが、それ以上に、RED内での情報発信が旅行者の行動に大きな影響を与えていますね。

▼ 中国人対象のマーケティングに効果的なREDについては、以下の記事で解説しています↓

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ヘスターさん(台湾)

台湾の旅行者の特徴としては、行き先を選ぶ際に「SNS映え」を重視する傾向が顕著です。Instagramやブログ、REDなどで美しい写真や動画を見て、「ここに行きたい」と決めるケースが増えています。観光地探しにおいては、テキストよりもビジュアルが重視されており、クリエイターが投稿する写真や動画のクオリティが判断基準になることが多くなっていますね。

また、特に訪日経験のある人たちは、他の人がまだ知らない場所への好奇心が強く、穴場スポットや個性的な景観を探していますし、映えスポットの発信にも積極的です。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

訪日マレーシア人も、旅行客が実際に行った場所やその様子を紹介しあい、新しい観光地を共有し合うことが多いです。主にFacebookコミュニティ「Road to JAPAN」などで情報交換が行われていますね。

コミュニティ内での熱を伴った情報交換は、インフルエンサーやAIではまだ代替が難しいでしょうし、施策を検討する価値があるのではないでしょうか。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

また、Facebookコミュニティが訪日旅行で積極的に活用されている例として、ムスリム同士のハラルフード情報交換コミュニティ「Halal Food In Japan」が挙げられます。日本で売られている食品やお菓子は一般的にハラルの認証取得や表示がないため、訪日旅行中にムスリムが出会った料理や食品の情報を検索できるのが便利なんです。

旅行中でも、「これって食べられる?」と写真をアップすると、5分もしないうちに10件近く回答が付くんですよ。

田
デン(中国)

ありがとうございます。
香港やマレーシアの例では、UGC(User Generated Content/ユーザーによって投稿されるコンテンツ)の強さを感じますね。

まとめると、どこの国でもSNSでの情報収集が中心となっていることがわかります。
訪日観光客に見てほしい情報をSNSで発信することはもちろん、いかにターゲット国の観光客に見てもらえるか、各国の旅行客の検索行動を踏まえて設計する必要がありそうですね。

 

大阪はオーバーツーリズムを懸念、周辺都市のアクセスには伸びしろ大

田
デン(中国)

ここまで、日本の自治体・企業のマーケティングで参考になりそうな話を伺いました。

ここからは、各国の訪日観光客を知る視点から、マーケティング以外のインバウンド施策への要望や懸念を共有してもらおうと思います。
今年は大阪万博というチャンスがありますが、そこで気をつけるべきことなどはありますか?

ドンさん
ドンさん(韓国)

大阪はもともと活気のある都市であることと、食道楽で知られていることもあり、韓国人に人気の高い都市でした。しかし、前編でもお話しした、訪日旅行での満足度の高い旅行先を韓国人に尋ねた2023年の調査では、大阪は6位と上位に一歩及ばずだったのです。

理由を聞いてみると、「ホテルが取れない」「グルメの選択肢が多すぎて迷う」「スタッフの態度に好感が持てなかった」「韓国人旅行客が多過ぎた」「ごちゃごちゃしてゆっくりできなかった」など。最近の訪日旅行に求める「ゆっくりしたい」と方向性が噛み合わないこともあり、観光地としての満足度が下がってしまっているようですね。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

私は仕事柄毎月旅行会社を訪問していますが、むしろ今年は「大阪はやめておこうか」と言う声が聞こえてきますね。

旅行会社視点ではバスの手配や英語ガイドの確保など課題が多く、「人手が足りるのか?」と不安の声が寄せられています。

田
デン(中国)

たしかに、オーバーツーリズムの懸念がありますね。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

そうですね。観光局や政府の出展がある関係上、要人を乗せた大型バスが増える一方で、一般の観光客がどれだけ快適に観光できるかが問われると思います。

ドンさん
ドンさん(韓国)

韓国でも同じように懸念されています。大阪万博の時期に合わせて旅行を計画している人の間では、ホテルの値段が高騰している、予約が取りにくいという声も出ていますね。東京オリンピックの時も同じような状況でしたが……。

混雑を避けるために、神戸など近隣地域へ宿泊客が流れる可能性もあります。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

マレーシアでも、代わりに、神戸、岡山、広島、金沢などのツアーを組む動きが出ていますね。

田
デン(中国)

そう考えると、大阪周辺の観光地にとってのチャンスと捉えることもできますね。

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ヘスターさん(台湾)

台湾では大阪への訪問経験が豊富なリピーターが多いため、万博目的でない限り、そもそも再訪する人は限られているかもしれません。また、オーバーツーリズムへの懸念から「混雑するなら行かない」という声も見受けられます。

訪日観光客が他の地域に目を向ける可能性もありますが、大阪に比べてアクセスが不便な地域が多いため、インフラ整備や観光地の再開発による対応が望まれますね。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

タクシーの利便性も大きな課題と感じています。

東南アジアではGrabなどの配車アプリが生活に深く浸透しており、誰もが当たり前に使っています。
しかし日本のタクシーアプリは、英語非対応やSMS認証の障壁などが多く、タクシーをつかまえても英語が通じないドライバーさんも多いと、旅行者にとって不便なケースが多々あります。特に地方では、行きはバスなどで何とかなるものの、帰りの交通手段が見つからず困るという声をよく聞きますね。

このような“旅中の不安定さ”が、オーバーツーリズムの遠因になると共に、地方誘客を阻む要因になっているのは否めません。

ドンさん
ドンさん(韓国)

今のヌルルさんのお話で、改めて気づかされた点がありました。私たちは地方へのアクセス方法については情報提供していますが、「帰りの手段」についての案内は意外と手薄でした。たとえば、現地での終電の時間や本数、帰路の注意点などをブログやSNSで発信できていなかったのではないかと反省しています。

今後は、韓国人旅行者に向けた地方プロモーションにおいて、このような情報も含めた施策を検討する必要があると感じました。

田
デン(中国)

観光地への交通手段の貧弱さや、多言語対応が追いついていないなどの問題はよく社内でも話題に挙がります。
大阪以外の観光地でも、この機会に訪日観光客に喜ばれる施策を検討する価値はありそうですね。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

東南アジアの旅行客にとっては、最近のホテル価格の高騰がつらいですね。ビジネスホテルでも2万円近くするうえ、「1部屋あたりの料金」ではなく「1人単位の料金」で請求されますから、家族旅行が多いマレーシア人には逆風です。

そのため、テクノロジーに慣れている世代を中心に、Airbnbの利用が増加しています。
マレーシア国内でも旅行でAirbnbを利用する文化が根付いているため、日本でも利用者が増えるのではないでしょうか。

田
デン(中国)

ありがとうございます。

ところで、マレーシアやインドネシアの旅行客にはムスリムの方が多いと思いますが、ムスリム旅行者向けの対応について、日本での印象はありますか?
礼拝室や、トイレなどの対応は進んでいるんですよね?

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

ムスリムの旅行者に喜ばれるためには、食事の選択や礼拝場所の有無など、施設やお店のムスリム対応が問われます。

ただ日本は、ムスリム対応においては着実に前進していると感じますね。
たとえば最近は東京の新しい施設にも礼拝室が設置されていたり、スキー場などでもハラル対応のメニューが提供されていたりと、配慮が増えています。神戸や北海道のリゾート施設でも礼拝室の設置が進んでおり、ムスリムとして本当にありがたいと感じています。

田
デン(中国)

そうした取り組みは、今後ムスリム旅行者を増やす上でも大きなポイントになりそうですね。

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ヌルル(マレーシア・シンガポール)

まさにその通りだと思います。

田
デン(中国)

ありがとうございます。これまでの話を通じて、各国の旅行者がどのような情報に接し、どこに価値を感じ、どんな点に不便を感じているのかが見えてきたと思います。
本日の話が、今後、自治体や観光施設・宿泊施設・交通機関などの担当の方の参考になれば幸いです。

本日はご清聴のほど、誠にありがとうございました。

 

まとめ:インバウンドの情報発信はSNSが基本!交通手段とその周知は伸びしろ大

今回の中国・韓国・台湾・マレーシア/シンガポール担当スタッフの対談の後編では、どの国の観光客もSNSでの情報収集が盛んであることがわかりました。

特に近年では、旅行中に「今」必要な情報の検索需要が増加しており、その場で見た情報次第で旅程を柔軟に組み替える動きもあることから、旅行者目線に立った情報を、検索・保存可能な形式で発信することの重要性が増していると言えるでしょう。
また、各国の訪日旅行客に共通するお悩みとして、アクセスの貧弱さや、特に「復路」の交通情報が充実していないことが挙げられていました。

クリスクでは東南アジア・東アジア各国に現地スタッフを擁しており、現地目線を踏まえたマーケティング施策やインサイトをご提供しております。訪日外国人に喜ばれるプロモーションをご所望の企業様は、ぜひお問い合わせください!
(編集協力:大西 桃子)

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

東南アジアにおけるSNSを活用したマーケティングをサポートします。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いたのは

東南アジア・東アジアのマーケティングに携わり15年!
タイから始まりベトナム・マレーシア・インドネシアにもオフィスを構え、現地メンバーと日本のディレクターチームとで東南アジア・東アジアでの集客・プロモーションを支援しています。

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