
こんにちは!クリスクアジア編集部です。
タイ向けにSNS広告を配信するとき、「どんなクリエイティブならクリックしてもらえるか?」「InstagramとTikTok、どちらに広告を出すべき?」と考えるマーケティング担当者の方は多いのではないでしょうか。
もちろん、広告を見てもらい、クリックしてもらうことは重要です。しかし、そこでひとつ考えてみたいことがあります。
広告がクリックされた“その後”の情報は、十分に用意できているでしょうか?
今回、クリスクタイの調査では、SNS上での行動についてアンケートを行ったところ、日本製品の広告を見た際に78.6%が「興味があればクリックする」と回答しました。一方、購入を決める際に信頼する情報源として最も多く選ばれたのは、「一般ユーザーのレビュー」で92.9%でした。
この2つの数字を並べてみると、興味深いことが見えてきます。
SNS広告は、商品に興味を持ってもらう「入口」にはなり得ます。しかし、広告をクリックしたことと、「この商品を買おう」と判断することは必ずしも同じではありません。
この記事では、今回のアンケート結果をもとに、
- タイの回答者が普段よく利用しているSNSは?
- 日本製品のSNS広告を見たとき、どのように反応する?
- 購入を考えるときには、どの情報が信頼される?
- なぜ広告だけでなくレビューなどの情報が必要なのか?
- 広告から購入につなげるために、企業は何を準備すべきか?
という流れで、「広告を出した後」の導線設計について考えていきます。
広告のクリック数だけを見るのではなく、その先でユーザーが「これなら買ってもよさそう」と思える状態まで設計する。タイ向けSNSプロモーションを検討している日本企業の方は、ぜひ施策を見直す際のヒントにしてみてください。
※本記事で紹介するアンケートは小規模な調査であり、タイ市場全体の傾向を示すものではありません。現地生活者の行動や考え方を知るための参考情報としてご覧ください。
よく見るのはInstagram・TikTok
まず、今回の回答者が普段どのSNSを利用しているのかを見てみましょう。
「普段、どのソーシャルメディアプラットフォームに最も時間を費やしていますか?」と複数回答で聞いたところ、最も多かったのはInstagramの78.6%でした。続いて、TikTokが71.4%、X(Twitter)が57.1%となっています。
今回の回答者に限った結果ではありますが、InstagramとTikTokという、写真やショート動画を中心としたSNSに多くの回答が集まりました。
この結果からも、タイ向けに商品を認知してもらう際、InstagramやTikTokといったSNSは生活者との接点をつくる選択肢として、重要なポイントになります。特にSNSでは、ユーザーが「商品を探そう」と思っていないタイミングにも情報を届けられます。
検索エンジンやECモールでは、ある程度商品への関心があるユーザーが自ら情報を探します。一方、SNSでは友人の投稿や動画、エンタメコンテンツなどを見ている途中に、偶然広告や商品情報と出会うことがあります。
つまりSNS広告には、まだ商品を知らない人や、購入を具体的に検討していない人に対しても、最初の興味をつくれる可能性があります。では、そのタイミングで日本製品の広告が表示された場合、今回の回答者はどのような反応をするのでしょうか。
78.6%が、興味があればクリック
SNSで日本製品の広告を見かけたときの行動について聞いたところ、78.6%が「興味があればクリックする」と回答しました。
一方、「興味を持たずスクロールする」は21.4%、「さらにレビューを検索する」は14.3%でした。
ここで注目したいのが、「興味があれば」という部分です。今回の結果を見る限り、日本製品の広告だから無条件にクリックされるわけでも、反対に広告だから必ず避けられるわけでもありません。
その商品が自分に関係のあるものだと感じられるかどうかが、次の行動につながるポイントのひとつだと考えられます。
マーケティング担当者の立場では、SNS広告を運用するとクリック率や表示回数、広告単価といった数字にどうしても目が向きます。
「クリック率が低いからクリエイティブを変えよう」
「動画の冒頭を改善しよう」
「ターゲティングを調整しよう」
といった改善はもちろん大切です。
ただし、広告をクリックしたユーザーの気持ちを想像すると、そのクリックは必ずしも「購入します」という意思表示ではありません。
むしろ、
「これ、何だろう?」
「ちょっと気になる」
「価格はいくら?」
「本当に良い商品なのかな?」
という、情報収集の始まりであるケースも多いでしょう。
その意味では、広告クリックを最終的な成果として見るのではなく、ユーザーが次の検討段階に進んだサインとして捉える必要があります。広告で「気になる」をつくることができたとしても、その先で必要な情報が見つからなければ、購入にはつながりません。

ユーザーレビューの強さ
そこで次に見てみたいのが、購入を決定するときに信頼する情報です。
今回のアンケートでは、購入決定時に信頼する情報源について複数回答で聞いたところ、最も多く選ばれたのが「一般ユーザーからのレビュー」で92.9%でした。
続いて、「ブランドの公式アカウントからの情報」が50.0%、「友人・家族からのおすすめ」が35.7%、「インフルエンサーからのおすすめ」が28.6%となっています。一般ユーザーのレビューが、ブランド公式アカウントやインフルエンサーからのおすすめを上回った点は、企業のマーケティングを考えるうえで注目したいところです。
ブランド公式の情報には、商品の特徴や性能、価格、使い方などを正確に伝えられるメリットがあります。インフルエンサーの投稿には、商品を知らなかった人に存在を知ってもらったり、具体的な使用シーンをイメージしてもらったりする役割があります。
一方、一般ユーザーのレビューには、実際に商品を購入・使用した人が「どう感じたのか」を確認できるという特徴があります。
企業から発信される情報だけでは、
「本当に説明どおりなのか?」
「自分と似た人が使ったらどうなのか?」
「良いところだけではなく、不便なところはないのか?」
といった疑問が残ることがあります。その疑問を解消するとき、他の購入者によるレビューが判断材料のひとつになるのでしょう。
今回の結果は小規模なアンケートによるものですが、広告や公式情報だけを充実させれば十分とは限らないことを考えるきっかけになります。
広告で「興味」、レビューで「納得」
ここで、先ほど紹介した2つの結果を改めて並べてみましょう。
SNSで日本製品の広告を見た場合、78.6%が「興味があればクリックする」と回答しました。一方、購入時に信頼する情報として、92.9%が一般ユーザーのレビューを選んでいます。
この結果から考えられるのは、広告とレビューでは、購買プロセスのなかで担っている役割が違うということです。
たとえばSNSを見ていて、初めて知った日本製の化粧品が広告として表示されたとします。
商品のビジュアルや動画を見て、
「肌に良さそう」
「日本の商品なんだ」
「ちょっと使ってみたい」
と思えば、広告をクリックするかもしれません。
しかし、商品ページを開いたあとには、
「実際の使用感は?」
「自分と同じ肌質の人はどう評価している?」
「値段に見合う?」
「他の商品と比べてどう?」
といった、より具体的な疑問が生まれます。
ここでは、広告で使われたキャッチコピーをもう一度見せるだけでは十分ではないかもしれません。
つまり、広告では「興味」をつくる。クリック後の情報では「納得」をつくる。
この2段階を意識することが重要です。
もちろん、今回の調査だけから「広告をクリックした人が必ずその後レビューを確認している」と断定することはできません。それぞれ別の設問に対する回答だからです。ただし、広告への反応と購入時に信頼する情報を合わせて見ることで、広告施策と購入判断のための情報設計を切り離して考えないほうがよいという示唆は得られます。
「クリックした後」を設計する
では、日本企業がタイ向けにSNS広告を展開する場合、具体的にどのようなことを考えればよいのでしょうか。
ひとつのポイントになるのが、広告の飛び先に何が用意されているかです。
たとえば、SNSで魅力的な日本製品の広告を見つけたとします。広告では、きれいな写真や動画とともに商品のメリットが紹介されていて、「ちょっと欲しいかも」と思ってクリックしました。ところが、その先の商品ページには短い商品説明と購入ボタンしかありません。
・使用方法がよくわからない。
・購入者の感想もない。
・配送についての説明が見つからない。
・商品の写真も広告と同じものしかない。
こうした状態では、広告によって生まれた「気になる」という気持ちが、そのまま購入につながらない可能性があります。
逆に、商品ページやECページに、
- 商品の特徴やメリットがわかりやすく説明されている
- どのような人に向いている商品なのかがわかる
- 実際に使う場面を写真や動画で確認できる
- 一般ユーザーのレビューを読める
- 実際の使用感や評価を確認できる
- 価格や配送、返品などの情報が見つけやすい
- 購入方法がわかりやすい
といった情報が用意されていれば、クリック後に生まれた疑問を解消しやすくなります。
ここで重要なのは、企業が伝えたいことを一方的に増やすことではありません。広告をクリックしたユーザーが、「次に何を知りたいのか」から逆算して情報を設計することです。
日本製だからこそ商品説明を
日本企業の商品を海外でプロモーションするとき、「Made in Japan」「日本品質」といった点を強みとして訴求することもあるでしょう。もちろん、日本製であること自体が商品の特徴になるケースはあります。
ただし、商品ページで「日本製だから高品質です」と伝えるだけでは、その品質がユーザー自身にどのようなメリットをもたらすのかまでは伝わらないことがあります。
たとえば化粧品なら、
「どのような肌悩みに向いているのか」
「どのタイミングで使用するのか」
「使用感は軽いのか、しっとりしているのか」
食品なら、
「どのような味なのか」
「現地ではどんな食べ方ができるのか」
「量はどのくらいなのか」
といった情報も、購入前には気になるでしょう。
企業側にとって当たり前だと思っている情報でも、初めて商品を見る現地の生活者には伝わっていないことがあります。広告で商品の魅力を短く伝えた後だからこそ、リンク先では「自分が実際に使ったらどうなるのか」を想像できる情報まで用意することが重要です。
そして、その商品説明を補強する役割を担えるのが、一般ユーザーによるレビューです。

レビューは数ではない
今回のアンケートでは、一般ユーザーのレビューが購入時に信頼する情報として多く選ばれました。
では、レビューをたくさん集めればそれだけでよいのでしょうか。ここでも、単純に「レビュー数」だけを見るのではなく、ユーザーが購入判断に使いやすい状態になっているかを考える必要があります。
たとえば、
「Good!」
「おすすめです!」
という短いコメントが大量に並んでいるだけの場合と、
「実際に1週間使ってみたところ、○○だった」
「配送には○日程度かかった」
「サイズ感は思ったより○○だった」
といった具体的な情報がある場合では、商品をまだ使ったことがない人が得られる情報量は異なります。
レビューには、企業の商品説明だけでは伝わりにくい「実際に使ったときのイメージ」を補う役割があります。そのため企業側は、レビューを単なる評価点として捉えるのではなく、購入を検討しているユーザーの疑問を解消するコンテンツのひとつとして見ることも重要でしょう。
レビューがあること、商品説明がわかりやすいこと、購入方法が簡単であること。こうした要素を組み合わせて、クリック後の不安を少しずつ減らしていくことが、購入につながる導線づくりになります。
飛び先LPの確認ポイント
SNS広告の準備というと、媒体選定、ターゲティング、動画やバナー制作などを優先しがちです。しかし、広告を配信する前に、一度ユーザー目線でリンク先を見直してみることをおすすめします。
たとえば、次のようなポイントです。
1. 広告で伝えている内容とリンク先がつながっているか
広告を見て期待した情報が、商品ページを開いてもすぐに見つからなければ、ユーザーは離脱してしまう可能性があります。
広告で「○○が特徴」と訴求しているのであれば、その内容をリンク先でも詳しく確認できる状態にしておきたいところです。
2. 商品の特徴を短時間で理解できるか
ページを最初から最後まで熟読しないと商品が理解できない状態ではなく、写真や見出しを見ただけでも、おおよその特徴が伝わる構成が理想です。
3. 実際の使用イメージを持てるか
商品単体の写真だけではなく、生活のなかでどのように使われるのかがわかる画像や動画があると、購入後を想像しやすくなります。
4. 一般ユーザーのレビューを確認できるか
今回のアンケート結果を踏まえると、購入を検討するユーザーが第三者の評価を確認できる環境も重要です。
5. 購入前の疑問に答えられているか
価格、配送方法、配送期間、支払い方法、返品条件、サイズや容量など、商品によって購入前に気になる情報は異なります。
こうした情報に迷わずアクセスできるかを確認してみましょう。広告運用を開始してから「クリックはされているのに購入につながらない」と悩む前に、まずは広告の受け皿となるページを整えておく。
この視点は、広告予算を効率的に使ううえでも大切です。
購買導線全体で考える
ここまで見てきた内容を整理すると、SNS広告の成果を考える際には、広告そのものだけではなく、その前後を含めたユーザー体験を見ることが重要だとわかります。
ひとつの流れとして整理すると、
SNSで広告を見る
↓
商品に興味を持つ
↓
広告をクリックする
↓
商品の特徴や価格を確認する
↓
レビューなど第三者の情報を確認する
↓
不安や疑問を解消する
↓
購入を検討する
という形です。
企業側から見ると「広告」と「ECサイト」は別々の施策として担当部署や予算が分かれていることもあります。しかし、ユーザーにとってはすべてひと続きの体験です。
広告では魅力的に見えたのに、商品ページでは欲しい情報が見つからない。
広告の言語は現地向けに最適化されているのに、購入ページでは説明がわかりにくい。
広告では商品のメリットを強く訴求しているのに、購入者のレビューがほとんどない。
こうした小さなズレが積み重なることで、広告で得られた興味を購入まで運べなくなることがあります。
だからこそ、
・広告=興味をつくる場所
・リンク先=理解・納得をつくる場所
・レビュー=第三者の視点から判断を支える情報
というように、それぞれの役割を考えながら導線全体を設計することが大切です。
まとめ
今回のアンケートでは、日本製品のSNS広告について78.6%が「興味があればクリックする」と回答しました。一方、購入を決める際に信頼する情報源では、「一般ユーザーのレビュー」が92.9%と最も多く選ばれています。
この2つの結果から見えてくるのは、SNS広告には商品への興味を生み出す「入口」としての役割がある一方、購入を後押しするには広告とは異なる情報も必要になるということです。
広告で「ちょっと気になる」と思ってもらう。
その先で商品の特徴や価格を理解してもらう。
さらにレビューや実際の使用感を確認し、「これなら自分にも合いそう」「この商品なら買ってもよさそう」と納得してもらう。
そう考えると、日本企業がタイ向けにSNS広告を展開する際には、広告クリエイティブだけを改善するのではなく、
広告 → 商品説明 → レビュー → 購入
までをひとつの導線として捉えることが重要です。
クリック率を上げることはもちろん大切です。しかし、クリックはゴールではありません。
「クリックされる広告をつくる」だけではなく、「クリックした人が安心して購入を検討できる環境をつくる」。
タイ向けSNSマーケティングを検討する際には、ぜひ広告の“その先”まで一緒に見直してみてください。

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