後発からシェア1位に!ベトナムで旅行アプリ「Traveloka」成功した理由とは?
こんにちは!クリスク・ベトナムのリエンです。
ベトナム人が旅行をする時、オンライン旅行代理店(以降、OTA)は不可欠なツールになりつつあります。
なお、現在ベトナムでは国内発のOTAよりも、インドネシア発であるTraveloka(トラベローカ)がとても人気です。ベトナムのOTA市場では後発だったにも関わらず、国内のOTAや海外の大手オンライン予約サービスを抑えて、なぜTravelokaはベトナムで人気になったのでしょうか?
参考)Vietnam E-Business Index 2018 Report
Traveloka(トラベローカ)とは
Travelokaは、ホテルや旅館への宿泊、航空券や新幹線のチケット、パッケージツアー、旅行先でのアクティビティなどの予約サービスアプリです。
- 開発・運営:PT Trinusa Travelindo(インドネシア)
- ベトナム進出:2016年3月
- ウェブサイト:https://www.traveloka.com/
- 月間セッション数:11.2M
- ベトナムのアプリランキング(旅行カテゴリ):2(2022年4月の時点)
- ダウンロード:6,000万回(全世界)
Travelokaはベトナムへの参入が遅かったため、当初はAgodaやBooking.comといった大手OTAの後塵を拝していました。
しかし、ほかのOTAよりもすぐれたサービスや活発なマーケティング施策の結果、ベトナムでのサービスオープンからわずか7年間で利用率No.1のOTAアプリとなりました。
参考)Vietnam Market Research Report – Vietnamese Online Travel Behaviors
Travelokaの成功理由
耳慣れなかった新興サービスがベトナム人旅行客の間で人気を得たのは、ほかのOTAにはないユーザー目線のサービスが高く評価されたからだと考えます。
① ホテル・交通手段・アクティビティなどがワンストップで予約可能
格安航空券やホテル、アクティビティそれぞれの予約サービスは多数存在しますが、旅行に行く際にいくつものサービスで予約やその管理をするのは手間がかかります。
しかし、Travelokaでは1つのアプリでホテル・航空券・レンタカーなどの移動手段を組み合わせて予約が可能です。
更に現地での映画、遊園地、美容、スパ、イベントなどのアクティビティも取り扱っているため、旅行前も旅行中も、いちいち複数のサイトやアプリをまたぐ必要はありません。また、アプリ内では最終的な合計価格が明示されるため、税金や手数料、予約料などほかの追加費用が加算される心配がなく、旅行の予算も立てやすいです。
Traveloka以外で同様のサービスを提供しているOTAは、現在のところExpediaぐらいでしょう。そのため、このワンストップ予約はTravelokaの人気の大きな要因と言えます。Travelokaの公式YouTubeのコメントでも「便利だった」の声が並んでいます。
② ベトナム事情に合わせた、多様な決済方法
ほとんどの旅行サイトはクレジットカード決済が当たり前となっていますが、実はクレジットカードを使っているベトナム人は人口の7%もいません。
一方、Travelokaはクレジットカードのほかにも、国内銀行カード、コンビニ払い、銀行振込など、ベトナムの消費者がよく使う決済手段でも支払いが可能です。
各国の市場に合わせた決済手段は、Travelokaの成功の一因と考えられます。
ここまでの2点は、ほかのOTAにはなかなか見られないTravelokaの独自性です。その上で、ほかのOTAにもあるサービスをも兼ね備えている点も支持を受けている理由でしょう。
③ 安値へのこだわり
OTAの魅力のひとつに、料金の安さやわかりやすさがあります。Travalokaではアプリ限定のタイムセールも頻繁に行われるほか、航空会社のサイトで入手できないチケットが購入できることもあります。
また、最大50%割引の直前宿泊セールも人気のキャンペーンです。
④ 「すぐ行きたい」「今何かしたい」にも対応
Travalokaのスマホサイトやアプリでは、約1分でホテルや航空券の予約を完了できるしくみ(Traveloka Quick)があります。
ホテルの直前予約が必要になる時や、フライトの遅延・変更・乗り継ぎの際に時間をつぶすためのアクティビティもすぐに予約できます。
※ほかのOTAによる便利なサービスはこちらの記事でも紹介しています!
個人旅行客を取り込め! アジアで人気の旅行アプリKlook・KKdayがカギ
参考)‘Nhiều người Việt đang sử dụng thẻ quốc tế để tiêu dùng trong nước’
Travelokaのマーケティング施策を分析
筆者は、Travelokaはマーケティングにも強みがあると感じています。特にユーザー目線のコンテンツに強く、旅行者のレビューや写真などのUGC(ユーザー生成コンテンツ)を効果的に使っているため、ほかのOTAと比べて広告感が薄いです。
特に印象的なのは以下の施策です。
① クスリと笑えるテレビCMや動画
Travelokaは、口コミで広がるテレビCM作りに長けています。
カジュアルに笑えてどんでん返しのある物語を通じて、オンラインホテル予約サービスを宣伝することで視聴者を魅了しています。
公式YouTubeチャンネルでも、視聴回数が数百万回を超える広告動画は珍しくありません。コメント欄でも「楽しくてびっくりした」「わかりやすい」「便利な情報がたくさんある」という高い評価を見かけます。
② 視聴者を巻き込むSNS
Travelokaはライブ配信、ミニゲーム、チャレンジキャンペーンなどを積極的に実施しています。
https://www.facebook.com/TravelokaVN/videos/479545557254923
また、どのSNSプラットフォームでもビジュアルでユーザーを惹きつけることを重視しており、動画や写真のクオリティもとても高いため、つい色々見てみたくなってしまいます。

③ インフルエンサーとのタイアップにも積極的
ベトナムでキャンペーンを行うなら、インフルエンサーは不可欠だと言っても過言ではありません。Travelokaが2021年に実施したブラックフライデーキャンペーンでは、有名なインフルエンサーや芸能人をゲストに呼んだライブ配信でのポイントプレゼントで爆発的に話題になりました。
11月24日から30日の1週間で、サイトへのアクセス数は4倍、航空券予約数は3.6倍、ホテルの宿泊日数は7倍、予約数は8倍に増加。 Travelokaのオプショナルツアー・アクティビティの販売数も7.8倍に跳ね上がったとのことです。
また、Travelokaは芸能人や人気のインフルエンサーのほかにも、多くのマイクロインフルエンサーも活用しています。ファン数がインフルエンサーより少ないものの、よりニッチで身近なマイクロインフルエンサーを活用することで、ユーザーへより広く深い影響力を与えられていそうです。
まとめ
競争が激しい市場で後発サービスをローンチしても、顧客の需要を把握し、クオリティーを上げ、ユーザー目線のサービスを提供することでシェアを伸ばせることが、Travelokaの事例から分かります。
コロナ禍で落ち込んでいた海外旅行への需要はまだ戻りきっていませんが、海外からの旅行客を受け入れる国は徐々に増えています。
記事執筆時点では、日本は観光客の受け入れを再開しておりません。しかし、新型コロナウイルスが流行する前は、訪日ベトナム人観光客が2017年頃から急激に増加しており、国別の旅行客数の伸び率は2018年には1位に、そのほかの年も上位に位置していました。

パンデミックの収束後、直行便の増加や航空券のセールなどにより、訪日需要は回復すると筆者は見ています。
訪日観光客へのプロモーションは今が仕込み時かも知れません。Travelokaの事例を見習い、パンデミックの前とは違ったチャンスを掴みましょう!
東南アジアからの旅行客への訪日プロモーションについては、ぜひクリスクへ気軽にお問い合わせください。