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成長率37.4%のベトナムコンビニ市場 ビンマートプラスとバックホアサインの戦略とは

ベトナムを訪れる日本人は、「コンビニが少ない」という印象を感じているかもしれません。しかし、2019年3月末時点では、ベトナムの主要コンビニブランドの店舗数は3,000店と増加しています。今回は、ベトナムのコンビニ市場やSNSプロモーションについて紹介致します。

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ベトナムのコンビニ市場

こんにちは!
クリスク・ベトナムのリエンです。

最近、私の日本人の知り合いがホーチミン市に来た時に、セブンイレブンがあることに気づいてすごく驚いていました。そこで私は、多くの外国人が「ベトナムにはコンビニがない」という印象を強く持っているということに気づきました。

ですが、ベトナムは本当にコンビニが少ないのでしょうか?

ベトナムのコンビニ市場

2016年に私は『バイクでの利便性最重要視!? ベトナムのコンビニ VS 個人商店の未来は?』という記事を書きました。
バイクでの利便性最重要視!? ベトナムのコンビニ VS 個人商店の未来は?

その時点では、コンビニの数はあまり多くはありませんでした。しかし、2019年3月末までに、主要なコンビニブランドの店舗数は3,000店となり、2016年に比べて約4倍に増加しました。

もちろん、増加していると言っても日本やタイのようにどこに行ってもコンビニがあるというわけではありませんが、Deloitteのレポートによると、2017年から2021年にかけてベトナムのコンビニ成長率は37.4%で、近隣東南アジア各国を上回ると予想されているようです。

CAGR of retail sales for convenience stores for 2017-2021
引用元: Deloitte

激化する出店競争

ベトナムのコンビニ業界は、ローカル企業と外資が入り乱れ、激しい競争を繰り広げています。外資ブランドといえば、アメリカ、日本、韓国・タイなどのチェーンが大都市で広く知られています。

日本人にもお馴染みのアメリカ系「Circle K(サークルK)」は他のブランドよりも一足早く2008年にベトナムに進出しました。そのおかげか、自由連想で最も名前が挙がったコンビニブランドであり、ベトナム最大の外資コンビニエンスストアチェーンとなっています。

日本・タイ最大のコンビニチェーンであるセブンイレブンは2017年6月にベトナムに進出しましたが、今はわずか28店舗しか出店していないようです。日系のファミリーマートは、2019年6月の時点で147店舗ありますが、すべてがホーチミン市周辺に集中している状況です。

進捗が芳しくない企業は撤退の選択を迫られる一方、2018年1月下旬に韓国の大手の「GS25」は、ベトナム1号店を開業してから18ヶ月で50店のオープンを達成。10年間で2,000店舗開店することを目指しているようです。そして韓国のBGF Retail傘下のコンビニチェーン「CU」も、2020年6月にベトナムに進出すると発表しました。

圧倒的シェアを誇るベトナムローカルコンビニチェーン

圧倒的シェアを誇るベトナムローカルコンビニチェーン
引用元: vnexpress

ベトナムは外国の投資家にとって有望なコンビニ市場ですが、店舗数から見れば、注目すべきは2つのベトナムローカルコンビニチェーンです。

ひとつは、ベトナムコンビニ市場シェアのなんと51%を占める、ベトナムの不動産開発大手ビングループ傘下のVinMart+(ビンマートプラス)。

そしてもうひとつはベトナムの大手携帯電話販売ブランド「The Gioi Di Dong(モバイルワールド)」が運営している家庭用電化製品販売チェーン「Bach Hoa Xanh(バックホアサイン)」です。

このベトナムローカルコンビニチェーンについて、それぞれの特徴を紹介したいと思います。

VinMart+(ビンマートプラス)

VinMart+(ビンマートプラス)

初出店:2014年
店舗数:約2,100 (2019年10月時点)
国:ベトナム
ホームページ:http://www.vinmartplus.vn 
Facebookページ:https://www.facebook.com/VinMartPlus/

他社と違ってハノイ・ホーチミンの大都会を集中に出店するのではなく、周辺区域や郊外、全国の小さな町でも店舗をオープンしているため、店舗数で小売業界トップとなっています。

2018年12月31日にベトナム全国で117店を一斉に開店し、ベトナムのオンライン経済雑誌で話題になりました。これにより一気に店舗数が2,100店に拡大し、市場の寡占化が進んでいると評価されています。

VinMart のSNSマーケティング活用

テレビCM、看板広告といった伝統的な広告手法はもちろん、Facebook運用や地元ロコによるアピールや、近年ベトナムで流行しているインフルエンサーマーケティングも積極的に展開ししています。

VinMart+は、地元の人たちに魅力的なフードメニューに力を入れ、安全な食品の提供者として広く知られるために、Facebookに面白いレシピや食品をテーマにしたミニゲームを頻繁に発信しています。

便利さ

VinMart+のFacebookページ
引用元: VinMart+のFacebookページ

コンビニという表現の由来は「convenience」(便利)という言葉からできたため、消費者に便利さを提供するのはコンビニの成功には肝心なことでしょう。

公共料金の支払い、宅配便、チケット予約といった他の競合ブランドと同様に、利便性が高い店頭サービスも十分実施していますが、VinMart+は会員の個人IDと連携する「Scan&Go」というVinGroupの独自決済アプリを開発しました。

これを使えば、客側は商品コードをスキャンし支払いを完了させることが可能です。レジで決済する必要がない上、ポイントを貯めることもできるようになっています。さらには会員向けのプロモーションを受け取ることもできます。

また、最大の特徴はVinGroupが販売している電子バイク「VinFast(ビンファスト)」の充電スタンドが、去年からVinMart+で設置され、充電も無料で行うことが可能になりました。

エコブランドを目指して

過去のコラム記事「脱プラスチックゴミ活動が盛り上がるベトナム ブランドイメージにも影響か」で紹介した通り、ベトナムのエコトレンドは無視できません。
脱プラスチックゴミ活動が盛り上がるベトナム ブランドイメージにも影響か

Vinmart+では、レジ袋の使用量を下げるために、繰り返し使えるバッグの使用促進キャンペーンを展開したり、Vinmart+および同ブランドのスーパーマーケットVinMartでレジで袋を断ると1千ドン(約5円)を自動的に差し引く事といったエコサービスも行っています。

ビニール袋以外にも、ハノイとホーチミンの店舗では使い切った電池の回収プログラムを展開。環境を積極的に守る企業としてアピールするために、VinGroupほど実用的な対策を実施するベトナム企業ははじめてではないでしょうか。

BACH HOA XANH(バックホアサイン)

BACH HOA XANH(バックホアサイン)

初出店:2015年
店舗数:約807 (2019年10月時点)
国:ベトナム
ホームページ:https://www.bachhoaxanh.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/sieuthibachhoaxanh

売上高 が小売業界1位

事業を開始してから4年で800店舗以上を出店、現在も店舗拡充を進めており、店舗面積は他のコンビニチェーンより広く、ミニスーパーのような印象を受けます。

VERAC(ベトナムの経済情報メディア)が発表した調査によると、VinMart+の2019年前半の売上高はBach Hoa Xanhの約3倍でしたが、Bach Hoa Xanhは、優位な地位を築くために、集合住宅の地域など消費者が多い場所へ展開したり、食品を中間サプライヤーなしで海外から直接に輸入したりすることで、「市場より生鮮食品の質が良く、価格も安い」という認知を進めています。

こういった戦略が功を奏してか、店舗ごとの売上高は小売業界の中で最も高くなっています。

売上高 が小売業界1位
引用元: cafef.vn

また、オンライン注文限定の安値商品を多く販売しており、現時点ではコンビニ業界で唯一のオンライン注文サービスを提供している企業です。

オンライン注文限定

2つのベトナムローカルコンビニチェーンSNS状況まとめ

Bach Hoa Xanhは新商品などの情報を毎週YoutubeチャネルやFacebookページで発信していますが、SNS運用全体の反応率や運用効果を考えるとVinMart+の方が上手ですね。

以下の表で簡単に比較してみましょう。

2つのベトナムローカルコンビニチェーンSNS状況まとめ

まとめ

今回はベトナムのコンビニ事情についてご紹介しました。コンビニの発展で、ベトナム人だけではなく外国旅行者の利便性も向上するでしょう。

私が個人的に今後展開してほしいのはATM、コピー機などの日本や韓国で使えるサービスです。

国外企業は、ベトナム企業との提携がうまくいかない、1店舗を出店するための投資資金が高い、ハノイやホーチミン以外の地域にはほとんどないといった様々な原因で苦戦しています。

しかし、スーパーより小さいコンビニの設立ライセンスは申請がかなり簡単で、コンビニ店舗密度がまだ低いという要素を考えれば、店舗網を拡大する可能性は十分にあるでしょう。

(編集:きたざわあいこ)

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

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この記事を書いたのは

クリスク・ベトナム マネージャー
東京大学留学後、ベトナム大手IT企業で仕様書の翻訳や通訳を担当。クリスク・ベトナムで広告運用・インフルエンサーマーケティング・マーケットリサーチなどのデジタルマーケティング支援に携わるほか、ベトナム大手出版社でマンガ、小説のベトナム語翻訳も手掛ける。趣味は映画鑑賞、コンサート鑑賞、山登り。

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