
こんにちは!クリスクアジア編集部です。
近年、ベトナムではZ世代(1997〜2012年生まれ)が、消費行動の主役として急速に存在感を増しています。特に都市部では、SNSやECを日常的に活用し、オンラインでスマートに商品を選択して購入するスタイルが定着しつつあります。
TikTokやShopeeといった人気アプリは、エンタメツールにとどまらず、Z世代の購買プロセスに深く組み込まれており、SNSで見つけた情報をきっかけにそのままECで購入するという行動が日常的に見られます。
今回は、ホーチミン市在住の26歳(Z世代)である女性ガー(Nga)さんへのインタビューをもとに、ベトナムZ世代のリアルな購買行動を紐解いていきます。
SNSの使い方、商品の選び方、ECで重視するポイントなど、ベトナム現地ならではの視点が満載です。この記事では、日本企業が見落としがちなベトナムZ世代の購買基準に迫ります。
ベトナム市場へのEC展開やSNSプロモーションをお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください!
Z世代ベトナム女性の買い物はTikTokから始まる
今回インタビューに応じてくれたのは、Z世代の女性ガーさんです。彼女は、以前は商品を検索する際にGoogleを利用していましたが、最近ではTikTokやShopeeを検索の起点として活用していると語ってくれました。
ガーさんの購買行動は、まずTikTokでKOC(キー・オピニオン・コンシューマー)によるレビュー動画を視聴することから始まります。KOCとは、一般消費者の立場からリアルな体験をもとに発信を行う影響力のあるユーザーを指します。
TikTok上にはさまざまなKOCによる率直なレビュー動画が多数投稿されており、ガーさんはそれらを参考に実際に使ってみた感想を重視するそうです。
印象的だったのは、KOL(インフルエンサー)による演出されたプロモーションよりも、KOCの等身大の語り口により高い信頼感を抱いている点です。
KOLがフォロワー数や専門性を強みにしているのに対し、KOCはより生活者に近い目線からの情報発信を行っているため、ガーさんのようなZ世代にとっては身近に感じられる存在となっています。
ガーさんは興味を持った商品を見つけると、次にGoogleで商品名を検索し、ブランドの公式情報を確認します。
この段階では、価格帯や素材、認証マークの有無など、より客観的で詳細な情報を取得することを目的としており、信頼できる公式サイトやECモールへのリンクがあれば、その後の購入先の絞り込みにもつながっていきます。
実際の購入はShopeeで行うことが多いとのことです。Shopee上では、同じ商品を扱う複数のショップを比較しながら、レビュー内容、販売実績、価格、発送スピードなどを総合的に評価し、最終的に信頼できると判断したショップから購入に至ります。これがガーさんの基本的な購買導線です。
なお、Instagramについては、正確な商品名がわからないと検索が難しく、あまり活用していないと話します。キーワードひとつで幅広い商品情報に出会えるTikTokのほうが、検索に向いていると感じているようです。
また、ガーさんは動画内で話を聞きながら、商品画像を同時に見る形式が最も分かりやすいと語ってくれました。Z世代にとって、画像やテキストだけの投稿よりも、商品リンクが整理され、情報が詰まったショート動画の方が、購買意思決定に与える影響は大きいといえます。
これまでのGoogleを起点とした検索から、TikTokなどのSNSを起点としてShopeeなどのECへとスムーズにつながる購買導線へと、ユーザーの行動パターンは大きく変化しています。
その背景には、動画レビューへの信頼感や、情報から購入までの距離の短さといった要素が関係していると考えられます。ベトナム市場でEC展開を行う企業にとっても、検索起点の変化に合わせたプロモーション設計やSNS活用の見直しが今後、より重要になっていくでしょう。

Shopeeで信頼できるショップの判断基準について
ガーさんは、Shopeeを日常的に活用しているZ世代ユーザーの一人です。実際の購入にあたっては、価格とレビューを最も重視していると語ってくれました。ただし、その見方は単なる安さだけではなく、商品の信頼性や販売者の対応まで含めた総合的な判断に基づいています。
たとえば、ブランド公式サイトよりも極端に安い価格設定の商品には、魅力を感じつつも安すぎて不安を感じるそうです。お得感がある一方で、あまりにも価格が低いと品質に疑念を抱くからです。
こうした慎重さとバランス感覚こそがZ世代らしい視点といえるでしょう。
一方で、過去にニキビ治療用クリームを購入した際には、レビュー評価の高さを信頼し、価格が少し高くても購入に踏み切ったことがあったとのことです。レビューは、信頼できるかどうかを見極めるうえで最も重視する情報源であるといいます。
ガーさんは特に、★1や★2といった低評価レビューも欠かさずチェックしています。
ただし、販売者の態度や配送の遅れなどではなく、製品そのものの品質に対して具体的な指摘があるかどうかに注目しているのが特徴的です。販売者とのやり取りが少し悪くても、商品の質がよければ気にしないという割り切った見方も持っています。
同じような商品を複数のショップが扱っている場合には、運営歴の長さや認知度、ブランドの信頼性を基準に選ぶ傾向があるといいます。つまり、見た目の良さや価格の安さだけでなく、このショップは信頼できるかという判断軸が常にあるのです。
また、印象的だったのは、梱包の丁寧さやショップの対応スピードも評価の重要なポイントになっていることです。
ガーさんは「問い合わせをしたときにすぐ返信がもらえると、またそのショップで買いたいと思う」と話しており、商品そのものだけでなく購入体験全体を評価基準に含めていることが分かります。
このような行動から見えてくるのは、Z世代がECを単なる購入手段と捉えるのではなく、ショップとの信頼関係を築く場として捉えているという点です。
Z世代にとって、安さは魅力的な要素である一方で、安すぎることは品質や信頼性に対する不安材料にもなります。価格をただ下げるだけでなく、その理由や背景、品質とのバランスに納得感を持たせることが、Z世代の購買意思決定において重要な要素となっています。
ライブコマースとSNS広告の見極め方
近年、ベトナムではShopeeやTikTok ShopなどのECプラットフォームを通じて、ライブ配信を活用したライブコマースが急速に広まりを見せています。セールや割引がリアルタイムで実施されることから注目を集めている一方で、すべてのZ世代が積極的に視聴しているわけではありません。
ガーさんにとって、ライブ配信は情報が多すぎて視聴に時間がかかると話し、あまり活用していないとのことでした。特に、ライブ中に極端な割引が行われているのを見ると、かえって商品の品質が不安になるといいます。
実際に、以前自分が定価で購入した商品がライブ配信中にほぼ半額で販売されているのを目にした経験があり、それ以降はこの価格は本当に妥当なのかと疑問を持つようになったそうです。こうした体験を通じて、ガーさんはライブコマースに対しても慎重に情報を見極める視点を持つようになりました。
一方で、TikTokで自然に流れてくる短尺のレビュー動画については好意的です。中でもKOC(キー・オピニオン・コンシューマー)による、実際に商品を使用したうえで語る率直なレビューには高い信頼を寄せていると語ってくれました。
過度な演出ではなく、生活者目線で語られるリアルな体験談を重視している点が印象的です。
また、SNS上に表示される広告についても、興味がないときは煩わしいと感じることもあるとしつつも、タイミングが合えば購買につながるケースもあると話してくれました。実際に、TikTokで偶然見かけた広告をきっかけに、ベトナムの伝統的なスナックを購入したこともあったそうです。
このような行動からは、ベトナムのZ世代にとって、すべての情報を鵜呑みにせず、自分で選び取る慎重で選択的な姿勢を持っていることが読み取れます。単なる安さや演出の派手さだけでなく、どのように情報に触れたか、誰が発信しているか、信頼できるかといった視点が、購買判断に大きく影響しているのです。

信頼されるブランドの条件における要素
Z世代の消費者は、単に商品を購入するだけでなく、ブランドとの関係性や姿勢を重視する傾向があります。ガーさんへのインタビューからも、ベトナムの若年層におけるブランド選びの基準が明確に浮かび上がってきました。
ガーさんが信頼できるブランドだと感じるために重要だと挙げたポイントは、以下の4つです。
- 商品の品質
- デザイン性
- カスタマー対応
- 広告との親和性
第一に重視していたのは、商品の品質です。前提として、信頼を築くには“良い商品を売っていること”だと語ります。
次に、商品の外観や機能がZ世代の感性に合っているかどうかも重要な要素です。ファッショナブルで現代的なデザインであることが購買意欲を高めると述べていました。また、問い合わせへの迅速な返答や丁寧な対応といったカスタマーケアも、再購入を促す要因になっているようです。
広告内容の親和性については、伝統的な広告よりも、エンタメ性やモダンでオシャレなものが好まれると指摘しています。広告の見せ方自体がブランド好感度を左右する要素といえます。
仮にブランドにスキャンダルや炎上が発生した場合、どのように対応するかも極めて重要です。ガーさんは、誠実な謝罪と事実の訂正、信頼できる証明資料の提示、場合によっては商品回収などの対応が必要だと、具体的なリカバリ策を挙げてくれました。
ブランドへの信頼は一度失われると簡単には戻らないものの、透明性のある対応をとることで、少しずつ信用を取り戻せるという見方も示しています。
Z世代の消費者は、単に商品を購入するだけでなく、ブランドとの関係性や姿勢を重視する傾向があります。これは、ベトナムで事業を展開する企業にとって非常に重要な視点です。優れた商品を提供するだけでなく、共感できるブランドとして信頼を築けるかどうかが、リピーター獲得や長期的なファン形成のカギとなります。

まとめ:Z世代の本音を知ることが、信頼されるブランドへの第一歩
今回のインタビューから見えてきたのは、ベトナムZ世代女性の購買行動が、非常に論理的かつ多角的な情報収集に基づいているということです。
ガーさんは、TikTokで得た第一印象をもとにGoogleで情報を確認し、Shopeeでレビューや価格、ショップの対応を精査してから購入を決断しています。単にSNSでバズっているから買うのではなく、価格・品質・信頼性・対応といった複数の視点をもとに、冷静かつ自分の価値観に合った選択をしているのです。
また、広告の見せ方やKOLの選び方、ショップの態度、レビューの信ぴょう性といった要素までもが、ブランドへの信頼を左右する重要なファクターであることがわかりました。これらは、価格競争やキャンペーン施策だけでは獲得できない、信頼性そのものです。
ベトナム市場で成功するためには、こうしたZ世代の視点を無視することはできません。むしろ、彼女たちのリアルな声を取り入れながら、より生活者目線に立ったプロモーション戦略を構築していくことが、長期的なブランド支持につながるのではないでしょうか。
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