こんにちは、クリスク・ジャパンの劉(リュウ)です。
台湾のインフルエンサー業界では、SNSプラットフォームの新機能を活用したり、自身の影響力を運用したりと毎年トレンドが移り変わっています。
今回はインフルエンサーの影響力が強い台湾における、インフルエンサー最新トレンドと事例を紹介します。
ポッドキャスト番組が大人気
Clubhouse(音声SNS)の大ブレイクも記憶に新しいですが、ポッドキャストなどの音声SNSの影響力が再び話題になっています。
2019年以降、台湾のポッドキャスト番組数は安定的に増加してきましたが、2020年のコロナ禍で一気に人気が爆発しました。これにより2020年は「ポッドキャスト元年」と呼ばれるようになりました。
以降、多くのメディア、タレント、インフルエンサーが次々とポッドキャスト番組を開設。2021年の現在、月間で45%のインターネット利用者はポットキャストを聞いています。
インフルエンサーのポッドキャスト活用法
ポッドキャスト番組を開設しているインフルエンサーは、基本的にFacebookとInstagramページを持っています。
Facebookでは番組宣伝とスポンサー広告、Instagramでは収録の裏と生活シェアをするなど、目的別にSNSを使い分けています。
また、一部はポッドキャスト収録の様子を映像化にしてYouTubeにアップロードします。画像や字幕を追加することで、内容がさらに分かりやすくなるというメリットがあります。
台湾で人気のポッドキャストチャンネル
▼事例:百靈果 bailingguonews バイリンガルニュース
Facebook:131,368人
YouTube:187,000人
Instagram:103,000人
Podcast:2020年Spotify年間総合ランキング第1位
国内外の時事ネタを紹介しているニュース番組で、時々インタビューや読書会も行っています。YouTubeで収録中の様子をアーカイブしたり、ライブ放送の形でアップロードしたり、ゲストとホストのやりとりを見てフォロワーは番組をさらに楽しむことができます。
▼事例:好味小姐 Lady Flavor レディーフレーバー
Facebook:312,569人
YouTube:594,000人
Podcast:2021年Spotify上半期総合ランキング第5位
台湾のポッドキャスト週間トップ10は、ほとんどがニュースや教育系など硬い内容ですが、そのなかでトップ5にランクインしている「好味小姐 Lady Flavor」は生活雑談系のポッドキャストです。
配信者は元々人気のあったYouTuber兼ペット食品ECサイトの経営者であり、2020年7月からポッドキャスト界に参画しました。
YouTubeメンバーシップ活用でファンを増加
2019年、YouTubeでYouTubeメンバーシップ機能が利用可能となってから、多くのYouTuberは数々の斬新な手法でチャンネル登録数と視聴数を増やしてきました。
YouTubeメンバーシップは、芸能人のファンクラブと似ています。
会員登録したファンは月会費を支払い、ランクに応じて、限定ビデオ視聴、ビデオ優先視聴、写真、誕生日カードプレゼントなどの特典を受け取ることができます。
また、オフラインイベントのファンミーティングやショーのチケット優先購入券、グッズのプロモーションコード配布などオフラインとオンラインの連携も実現されています。
日本と異なり、台湾のYouTuberは積極的にメンバーシップを利用しています。
筆者の調査によると、チャンネル登録数トップ10のうち、会員制を利用しているのは日本が3チャンネルである一方、台湾は7つのチャンネルが利用しています
台湾のメンバーシップを活用しているYouTuber
▼事例:志祺七七 Shasha77 ジーチーチチ
Facebook:38,000人
YouTube : 869,000人
Instagram:120,000人
毎日更新している時事系YouTuber「志祺七七」は四種類の会員ランクを開設しています。ランクは、ベーシックプランの月額490円からプレミアムプランの月額6,000円までで、豊富な特典を提供しています。
会員はコンテンツ制作の裏話や広告商品のプロモーションコードをもらえます。また、会員限定のチャットルームで次回のテーマを決めます。一般のチャンネルよりファンと触れ合う機会が増え、ファンのエンゲージメント率が高まります。
▼事例:黃氏兄弟 Huang Brothers ホアン兄弟
Facebook:240,000人
YouTube:1,800,000人
Instagram:359,000人
10代、20代前半の若者に大人気な「黃氏兄弟」はチャレンジ系とレビュー系コンテンツが得意で、ポジティブなキャラクターを持っています。
志祺七七と同じように、4種類の会員ランクを開設しています。ファンの平均年齢が他のチャンネルより低いので、プロモーションコード配布など購入行動を促すよりも豊富なグッズの送付に注力しています。
インフルエンサーのタレント化
台湾でインフルエンサーの影響力は大きくなっていて、従来のタレントと同じような活動をするようになっています。
インフルエンサーがCMキャラクターに起用されたり、テレビや雑誌への露出、音楽や映画出演など、これまで芸能界で活躍してきた芸能人との違いがなくなってきています。ネット上の影響力がオフライン、テレビや雑誌などにも波及し、知名度の向上とフォロワー数の増加にも繋がっています。
また、芸能人との連携も一般的になっています。
インフルエンサーのチャンネルで出演やイベント参加など連携がよく見られるようになっています。YouTubeの利用時間が増え、テレビ視聴時間が年々減っているため、芸能人やテレビ番組の影響力も減ってきています。
事例:眼球中央電視台
Facebook(チャンネル):530,742人
Facebook(個人):360,000人
YouTube:1,060,000人
Instagram:100,000人
テレビニュースを真似した時事ネタのYouTubeチャンネルであり、アナウンサーの視網膜(シーワンムォ)は揶揄するような口調でコメントし、20〜30才から支持を得ています。
YouTubeチャンネルの開設以降、テレビのニュース番組のアナウンサーとトークショーを行い、主催する旧正月の年越しトークショーでもインフルエンサーだけではなく、多くの芸能人や政治家も参加しています(2021年はコロナ感染拡大により開催中止)。
2021年には、台湾最大のテレビとラジオのアワード「GBA」で、総合司会を担当しました。昨今、台湾で知名度の高いインフルエンサーの1人です。
まとめ
これまで台湾のインフルエンサーは、YouTube、Facebook、Instagramなどインターネットのプラットフォームだけで活躍してきました。
しかし、テレビ局がテレビ番組をYouTubeにアップロードするように、テレビとインターネットの境界が曖昧となってきている現在、活躍の場が広がっています。そのため、今後台湾ではインフルエンサーの影響力はより大きくなるでしょう。
変化速度が早く、国それぞれでも文化の違いが大きく影響するSNSトレンド。クリスクはSNS広告において豊富な実績を持っている代理店です。
台湾と東南アジア向けSNS施策検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください!