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ゲームは国策!開発もeスポーツ人口も爆発中のベトナムに世界が注目

ベトナムでは現在、ゲームのプレイ人口も開発者の数も急激に増加し、ゲーム産業が成長著しい国として世界で認知されるまでになっています。同時に人気となったeスポーツに関連するインフルエンサーや、関連するマーケティングの詳細を紹介していきます。

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2022_6_22_01

こんにちは! クリスク・ベトナムのリエンです。

「若者たちへ悪影響を及ぼす」として、ベトナムでは悪習の1つとされていたゲーム。

しかし現在では世論は一変しました。いま、ベトナム国内ではゲームのプレイ人口もゲーム開発者の数も増加し、成長著しい業界としてベトナム国内の経済成長に寄与するよう大いに期待されています。

ゲーマーが急増するベトナム

現在のベトナムにおいて、ゲームはどのくらい「普通」になっているのでしょうか?

東南アジアのPR・デジタルマーケティングのコンサルティングを行うVeroのレポートによると、2020年時点でベトナムは成人のゲームプレイヤー率が世界で最も高い(85%)そうです。また、ベトナムの総人口の3分の1はeスポーツプレイヤーともされています。

また、アメリカのマーケティングコンサルティング会社Sensor Towerによって2022年第1四半期に行われた調査によると、スマホゲームアプリのインストール数において、ベトナムが全世界で8位(9億3,700万件)にランクインしています。

この数字は昨対比124%と、上位10カ国では最も高い伸び率を示しているため、次回以降の調査ではもっと順位が上がる可能性があります。

引用元: Sensor Tower

さらに、ベトナム人はゲームへの課金にも積極的です。GWIによるデジタルコンテンツへの課金額の調査では、動画配信サービスや電子書籍を大きく上回り、ゲーム関連の支出額が50.7%を占めることがわかりました。

ゲームのやり過ぎが社会問題とされていた頃と比べて、すっかりゲームが市民権を得たことが数字からもおわかりいただけるでしょう。

好調なベトナム市場に食い込もうとする動きも

ベトナムの情報通信省の報告によると、2021年のベトナムのゲーム産業全体での売上は、昨対比111%の145,000億ドン(約829億円)と推定されています。

伸び盛りのベトナム人ゲーマーやベトナムのゲーム市場を狙って、各国のゲームがベトナム人向けコンテンツを取り入れるケースが増えてきています。

日本の人気ゲームアプリ「Fate/Grand Order」では、ベトナム民族の英雄として祀られている「徴姉妹(ちょう しまい)」を元にしたキャラクター「徴姉妹(なかよしセイバー)」が2022年4月のアップデートで実装されました。

ベトナムの民族衣装「アオザイ」をまとう「徴姉妹」は、開発会社の狙い通り、ベトナムのゲーム・漫画・アニメ好きの間で大きな話題となりました。

「徴姉妹(なかよしセイバー)」の実装時には、ベトナム人に向けた紹介動画や切り抜きが多数アップされた
(引用元: 【公式】Fate/Grand Order チャンネル ※公式による日本人向け紹介動画)

ゲーム開発会社も急増中

日本人にモバイルゲームアプリの開発会社を挙げてもらうと、世界的な大手企業の他に、もともとコンシューマーゲームで有名だった日本の企業や、ガラケー時代からのゲームアプリ会社といった国内企業が挙がるでしょう。

実はベトナムでもゲームアプリの開発会社が急増しており、中には国を超えて知られる会社も出てきています。

スイスのアプリ調査会社42mattersのデータによると、ベトナムの開発会社によるAndroid向けゲームアプリは5,850点、ベトナムのAndroid向けゲームアプリ開発者は1,602社存在します(2022年6月15日時点)。

そして、ベトナムのAndroidゲームアプリのセールスランキングにも、ベトナムのデベロッパーのゲームがランクインしています。

ベトナムにおけるAndroidゲームアプリの総売上額ランキング。ベトナムの開発会社のゲーム(国旗が表示されているもの)もランクインしている
(引用元: 42matters:2022年6月17日現在)

世界に知られ始めたベトナムのゲームパブリッシャー

仮想通貨の投資や運用が広まる中で、遊んでいるだけで稼げる「NFTゲーム」を始める人も増えてきています。

そのNFTゲームの中でも特に人気のゲームの1つ、「Axie Infinity」の開発元は、ベトナムのスタートアップ会社Sky Mavisです。

「Axie Infinity」は2018年にリリースされて以降、今では1日に全世界で100万人以上のユーザーがプレイしているNFTゲームです。2022年に1.5億ドル(約185億円)の資金調達をしたことも話題となりました。

育成・繁殖させたモンスターを対戦させられるゲーム「Axie Infinity」。一定の条件を満たすことで仮想通貨を獲得できるしくみとなっている
(引用元: Axie Infinity公式サイト

また、ベトナム初のユニコーン企業VNGも、ゲーム開発からスタートしたテック企業です。今でこそソーシャルメディア(Zalo)、オンラインメディア(Zing News)、金融サービス(ZaloPay)などと、複数のサービスを提供しているVNGですが、同グループの総収益の80%以上は今もゲーム関連です。

さらに、アメリカのアプリリサーチ会社data.ai(旧:App Annie)が発表した、ANZSEA(オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア)のゲーム開発会社ランキングトップ10のうち、5社がベトナムの会社です。

引用元: Data.ai

勢いのある国内市場の後押しもあり、ベトナム発のゲームがこれからますます世界に知られるようになっていくのかも知れませんね。

コロナ禍でeスポーツ需要が増大

ベトナムでは、カジュアルゲームを中心としたスマホゲームアプリが広まっている一方、eスポーツも非常に盛り上がっています。
2021年にベトナムレクリエーションeスポーツ協会(VIRESA)が発表したeスポーツ白書のデータによると、ベトナム国内のeスポーツ人口は約1800万人にも上ると報じられています。

そのきっかけは、やはりコロナ禍です。大会やイベントの休止や延期の影響で、eスポーツ業界の収益こそ一時的に微減となったものの、eスポーツのプレイヤーも視聴者もこの期間で急増しました。

VIRESAのeスポーツ白書では、回答者の8割がコロナ禍を契機にeスポーツコンテンツに費やす時間が増えたことが示されています。また、Facebook Gaming では、コロナ禍でeスポーツ観戦者が81.37%増加したことが分かりました。

その後もeスポーツ人気は定着し、eスポーツプレイヤーの1日あたりの平均プレイ時間は2時間55分、毎日eスポーツの配信を見ている観戦者は52.5%にも上ることが報じられています。

eスポーツが国策に 国際大会の開催国も務める

ベトナムは、政府による2009年の決定に基づいて設立されたベトナムレクリエーションeスポーツ協会(VIRESA)を通じて、国を挙げてeスポーツの発展と国際的地位の向上に力を尽くしています

世界的にeスポーツ大国として認知されてきた成果か、近年では「Mid Season Invitational」、「Arena of Valor World Cup」、「第31回東南アジア競技大会(SEA Games)」などの国際的なeスポーツ大会・イベントの開催国になる機会が増えています。

また、2021年からベトナム国内でもeスポーツ全国大会「国家eスポーツ選手権(VEC)」「全国学生eスポーツ選手権(UEC)」が毎年開催されることとなりました。

大規模なeスポーツの大会やイベントを定期的に開催することで、使用されるマシンや会場の他、配信プラットフォームやコンテンツプラットフォーム、選手のマネジメント事務所や広告代理店など様々な業界への経済効果も期待できます。

ベトナムのeスポーツ業界は、ベトナム経済の中でも特に期待が寄せられている分野と言えるでしょう。

ベトナム国内の影響力は芸能人並み!? eスポーツインフルエンサー事情

eスポーツが非常に効果的なブランドプロモーション媒体になった結果、プロゲーマー、ストリーマー、コンテンツクリエーター、コメンテーターといった多くのインフルエンサーが誕生しています。

フォロワー数100万人クラスのeスポーツインフルエンサーも珍しくなく、ベトナム国内での影響力はタレントやアーティストなどの芸能人にも匹敵します。

ベトナム人の人気ゲーマーのYouTubeチャンネル。フォロワー数が100万を超えています
引用元: Cris Devil Gamer

著名なゲーム配信者やeスポーツインフルエンサーの影響力は、もはやゲームにとどまりません。

東南アジアのマーケティング会社VeroおよびDecision Labの共同調査によると、回答者の51%が、自分がフォローしている配信者やインフルエンサーの宣伝する商品を信頼し、42%は実際に購入する傾向があると分かりました。

また、回答したリスナーや観戦者のうち、65%は直近1ヶ月以内に配信者やインフルエンサーがPRした商品を購入したとも回答しています。

さらに、紹介された商品への購入意欲はゲームや家電、ガジェットだけではなく、食料品やアクセサリーなどでも有効であることも判明しました。
ベトナム国内でのマーケティングにおいては、ゲーム配信者やeスポーツインフルエンサーの活用も極めて有効と言えるでしょう。

ゲーム関連商品以外でも、ゲーム系インフルエンサーのおすすめが欲しくなる人が多いベトナム人
(引用元: Vero)※グラフはクリスク再編集

ゲーム配信者・eスポーツインフルエンサーのマーケティング活用事例

ゲーム系インフルエンサーは、やはりゲームのプロモーションがもっとも親和性も期待値も高いでしょう。ゲーム実況やレビューは日頃の配信活動の延長線上で配信できるため、配信者・リスナー双方に受け入れられやすいです。

ここでは特に効果を上げた事例をご紹介します。

① Minecraft (Mojang Studios) × MixiGaming の事例

ベトナムでもっとも人気のあるゲーム配信者が登場するPR動画です。公開後1ヶ月弱で100万再生を突破しました。

・インフルエンサー:MixiGaming
・YouTube フォロワー数:633万人(2022年6月13日現在)

 

ゲーム系コンテンツの他にも、旅行プロモーション動画も非常に人気があります。エンゲージメントの高さは旅行系インフルエンサーにも引けを取りません。

② Sonic Dash(SEGA) × meGAME の事例

ソニックシリーズの新作リリース時のプロモーション事例です。そもそも、ソニックがベトナムのゲームプレイヤーの大部分を占める30才以下の年齢層になじみが薄いため、多くのYouTuberとのコラボを実施しました。

・インフルエンサー:meGAME
・YouTube フォロワー数:130万人(2022年6月13日現在)

 

meGAMEはゲームの特徴や歴史の紹介を得意とするチャンネルです。中の人のプロフィールは一切非公開であるにもかかわらず、熱狂的なファンは多く、エンゲージメントは高いです。

まとめ

10年前、ベトナムでは「怠け者の楽しみ」として考えられていたゲームやeスポーツは、今やベトナム内外の投資家にとって非常に魅力的な市場となりました。

ベトナムのゲーム市場の大部分はまだまだ国外のゲームが占めています。しかし近年、Axie Infinityの他にも、国際的に注目すべきベトナム発のゲームプロジェクトが複数存在します。

特にNFTゲームにおいては顕著で、680万米ドルを資金調達したSipher、2500万米ドルを調達したWhydahなど、有力なゲーム開発会社がまだまだ控えています。

ベトナムのゲーム・eスポーツ市場のさらなる発展において、若年人口の多さ、スマートフォンや高速インターネットの普及率、ネットカフェの普及も強力な要因となるでしょう。

クリスクは貴社の特徴と東南アジア各国のトレンドを加味し、最適なプロモーションをご提案できます。お気軽にご相談ください!

参考)
GAMING AND ESPORTS IN VIETNAM: A NEW ARENA FOR BRANDS
Q1 2022: Store Intelligence Data Digest
DIGITAL 2022: VIETNAM
Game Việt tăng tốc, cơ hội làm giàu cho giới trẻ
Vietnam Mobile Gaming Statistics in 2022
アクシー運営Sky Mavisが約185億円資金調達、ハッキング被害への払戻のため | あたらしい経済
VNG lên kế hoạch lợi nhuận năm 2021 âm 620 tỉ đồng – Forbes Việt Nam
Vietnam’s VNG considers SPAC listing in the US
SÁCH TRẮNG THỂ THAO ĐIỆN TỬ VIỆT NAM 2021
eSports Việt vươn mình – Forbes Việt Nam
SÁCH TRẮNG THỂ THAO ĐIỆN TỬ VIỆT NAM 2021
LoL国際大会「MID-SEASON INVITATIONAL(MSI)」の開催地がベトナム・ハノイとホーチミン、チャイニーズタイペイに決定 | Eスポーツジャーナル
Arena of Valor 2019 World Cup to be Held in Vietnam – ARCHIVE – The Esports Observer
Vietnam SEA Games confirmed for May 2022 opening
ベトナム初の「eスポーツ白書」発行、全国大会も開催へ [経済] – VIETJOベトナムニュース
GAMING AND ESPORTS IN VIETNAM: A NEW ARENA FOR BRANDS

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(執筆:Vu Thi Phuong Lien 編集:クリスク海外事業部)

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

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この記事を書いたのは

クリスク・ベトナム マネージャー
東京大学留学後、ベトナム大手IT企業で仕様書の翻訳や通訳を担当。クリスク・ベトナムで広告運用・インフルエンサーマーケティング・マーケットリサーチなどのデジタルマーケティング支援に携わるほか、ベトナム大手出版社でマンガ、小説のベトナム語翻訳も手掛ける。趣味は映画鑑賞、コンサート鑑賞、山登り。

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