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官民一体で進むインドネシアのオンライン教育事情

国家予算の20%に相当する492兆ルピア(約3.7兆円)を教育予算に充てているインドネシア。日本の約5倍の国土と1万4000もの島々からで構成させるインドネシアでは、都市部と地方との教育格差が依然としてあり、その解決策としてオンライン教育の普及への取り組みが行われています。

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こんにちは!
クリスク・インドネシアのタニアです。

現在のインドネシアでは、学生から一般市民にいたるまでオンライン教育の利用者が増加し続けており、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のための自粛期間で、提供されるオンライン教育の質も量も増加しました。

インドネシアでは、いまこの「オンライン教育」ジャンルが国と民間から熱い注目を受けています。その理由はなぜなのか、どのような取り組みが行われているのかを紹介していこうと思います。

国家予算の20%を占める教育予算

2019年のインドネシアにおける教育予算は492兆ルピア(約3.7兆円)。この金額は、インドネシアの国家予算の20%に相当します。

さらに、新型コロナウイルスの影響で、2020年の国家試験(進級試験)がキャンセルされたことで宙に浮いた予算は、オンライン教育の開発に使用されると言われています。

2011~2019年のインドネシアの教育予算推移
引用元: https://bit.ly/2Yfx6QD

また、スタートアップ追跡プラットフォーム・Tracxn(https://tracxn.com/explore/EdTech-Startups-in-Indonesia)によれば、 インドネシアはEdTechスタートアップが134社あるそうです。( 2019年9月時点)

背景には、豊富な若年人口の存在と経済成長による教育市場の需要拡大、テクノロジーの進化、オンラインプラットフォームを通じての学習を促進するためのインドネシア政府・地方自治体の取り組みなどが影響しており、今後もEdTechスタートアップビジネスはますます増えていくと予想されています。

インドネシアでオンライン教育が進む理由

インドネシアの国土総面積約189万平方kmで日本の約5倍です。さらには約1万4000もの島々からなる国であるため、いくつかの地域では、学校などへのアクセスは依然として難しい状況にあります。
たとえば、農村地域では、生徒は学校に到着するまで5キロ以上も歩く必要があり、適切な教育インフラがない場合もあります。

インドネシアの農村にある学校。依然として、都市部と地方部での教育格差があります。
引用元: https://bit.ly/2LSEN9t

インドネシア中央統計局によると、2017〜2018年度の小学校から高校までの生徒数は5,000万人、学校数は約30万校に達しました。しかし、都心部と周辺部では教師数に大きな差があるのが現状です。

そのような状況下でも、オンライン教育を使用すれば距離や不十分な設備を気にすることなく、教師と生徒をうまくマッチングさせることができます。

インドネシアのオンライン教育の問題点

オンライン教育はより広い地域・多くの人々に学習機会を提供するための優れたソリューションです。しかし残念ながら、インドネシアのインターネット環境は依然として大都市でしか充実しておらず、国内の平均速度はわずか20.1 Mbpsで、世界の平均インターネット速度(73.6 Mbps)とはかけ離れています。
(参照:We Are Social Digital 2020: Global Digital Overview)

さらに、PCやタブレットPCなどの適切なデバイスを持たないインドネシア人がまだ多くいることは否定できません。

BINUS大学のナレッジマネジメント・イノベーションディレクターであるElidjen氏は、「教育の世界におけるオンライン教育を適用していく課題は人材にもある」と説明しました。特に教師の考え方やテクノロジーへの理解の欠如は、技術開発に非常に順応している現在の学生とは大きく異なります。

オンライン教育を改善するための取り組み

オンライン教育に対する急速な成長と関心の高まりを見て、政府はインドネシアでのオンライン教育の開発を改善するため、いくつかの努力をしました。

特に現在の新型コロナウイルス感染拡大への対策として、政府はKartu Prakerjaという教育プログラムに20兆ルピアの予算を準備しています。さらに、政府は大企業も支援を行っています。そのうちの1つが携帯電話会社と協力して、学生と教師が学習アプリやサイトに無料でアクセスできるように助成金を提供することです。

Kartu Prakerjaプログラムとは

引用元: https://www.prakerja.go.id/

Kartu Prakerjaは、仕事の能力とスキルを向上させるためのトレーニングプログラムです。このプログラムは、2019年の大統領選挙キャンペーン中にジョコ・ウィドド大統領によって推進されました。

このプログラムに参加できる人は、18歳以上で、現在正式な教育を受けていない人です。合格した参加者は、メンバーカードを取得し、オンラインでKartu Prakerjaのパートナーのさまざまなコースを受講できます。

Kartu Prakerjaの登録ページ

2020年4月、インドネシア政府はこのプログラムを変更し、新型コロナウイルスのパンデミックによるレイオフの影響を受けた労働者を支援できる形に変更しました。

参加者には、証明書に加えて、350万ルピア(約25,000円)の援助費(トレーニングコストやその他のインセンティブを含む)が支給されます。当初は対面式のトレーニングでしたが、現在は完全にオンラインで受講します。

企業によるオンラインセミナー

インドネシアのユニコーン企業Bukalapakのような一部のユニコーン企業は、2020年4月以降、毎週定期的にオンラインセミナーを開いています。使用されているプラ​​ットフォームは、WhatsAppグループとYouTubeです。

インドネシア情報通信省のBukalapakオンラインクラスに関する記事
引用元: https://bit.ly/3cOlUj4

内容は、Bukalapakのユーザーを対象としていますが、一般の方もユーザーとして登録した後に参加できます。セミナーのテーマは、Bukalapakの機能、ビジネスの管理方法、特にコロナパンデミックにおけるマーケティング戦略についてのディスカッションなどです。

よく使われているオンライン教育プラットフォーム・アプリ

最後に、インドネシアで教育と一般の分野で非常に人気のあるオンライン教育プラットフォーム・アプリを紹介したいと思います。

Ruangguru

引用元: https://sekolahonline.ruangguru.com/

Ruangguruは、小中高生向けのオンライン教育プラットフォームです。Ruangguruには、1500万人以上のユーザーと30万人の教師がおり、100以上の分野の学習を提供しています。Ruangguruアプリは、Google PlayストアおよびApp Storeから無料でダウンロードできます。

学習セッション中、メンバーはライブチャットに参加して、他の学生とテーマについて話ができます。さらに、質問集やオンライン模擬試験などの機能を無料で使用することもできます。学習の提供の他に、1か月間無料でオンライン教師によるトレーニングも提供しています。

Pintaria

引用元: https://pintaria.com/

Pintariaは、大学・大学院レベルの学習資料だけでなく、知識やスキルを高めたい人のためのデータサイエンス、プログラミング、言語、デジタルマーケティングなどのさまざまなカテゴリーのトレーニングやコースを提供する教育ポータルです。

インドネシアの主要な大学と協力しており、Kartu Prakerjaのパートナーの1つでもあります。

ユーザーは無料のオンライン教育、トレーニングやコース動画、オンライン講義、トレーニングプログラムやコース情報にアクセスできます。これらのプログラムは、教育の最新ニュースだけでなく、仕事の世界で役立つ実用的な専門知識も提供しています。

Skill Academy

引用元: https://skillacademy.com/

Skill Academyは、学生、社員、一般の人々に向けて、さまざまな分野の技術スキルとソフトスキルを向上させるトレーニングサービスを提供しています。

ビジネスから趣味まで、Skill Academyは、手頃な価格(50万ルピア以下)でクラスを提供し、ビジネス、プログラム、マーケティングなどの分野の専門家によって直接指導を受けられます。また、Skill Academyは、Kartu Prakerjaのパートナーでもあります。

まとめ

インドネシアでの新型コロナウイルスの感染拡大はオンライン活動の増加をもたらしました。それはオンライン教育も例外ではありません。今こそがオンライン教育プラットフォームを最大限に活用し、将来的に効果的な学習の場をインドネシアに根付かせる時期なのかもかもしれません。

オンライン教育のターゲットは、学生、会社員、専門家、一般の人々と幅広く、そして政府だけでなく、大企業もオンライン教育の実施に取り組み始めています。

インドネシアにおいて、人的資源や不十分なインターネット環境、利用設備などの課題はまだ残っていますが、オンライン教育は今後も成長を続けていくでしょう。

(編集:きたざわあいこ)

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

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この記事を書いたのは

クリスク・インドネシア スタッフ
インドネシアの大学でグラフィックデザインを専攻。日本への留学時、1年でJLPT N2に合格した努力家。クリスク・インドネシアへのジョイン後はインドネシアのSNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングを多数手掛ける。趣味は映画鑑賞、コンサート鑑賞、音楽を聞くこと。

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