こんにちは!クリスク・アジア編集部です。
皆さんは、「タイでは日本食が人気」と聞くと、どのような光景を思い浮かべるでしょうか?バンコクの大型商業施設に並ぶ寿司チェーン、行列のできるラーメン店、日本式の焼肉店。確かにそれらは間違いではありません。
しかし今回、クリスクタイが実施したアンケート調査から見えてきたのは、もう少し複雑な実態でした。
タイ人は日本食が好きです。
しかし、自宅で日本料理を作っているわけではありません。むしろ多くの人が利用しているのは、日本の調味料やソースでした。
さらに調査を進めると、日本料理と韓国料理では全く異なる消費スタイルが存在することも見えてきました。
この記事では、
✔ タイ人は日本食をどう楽しんでいるのか
✔ 韓国料理との違いは何か
✔ なぜ日本の調味料が家庭に浸透しているのか
✔ 日本の食品メーカーが狙うべき市場機会とは何か
について解説します。
タイ市場を理解するうえで、「日本食人気」という言葉だけでは見えてこないリアルな生活者像をご紹介します。
日本企業がタイ市場を見るとき、「日本食人気」という言葉をよく耳にします。
しかし現地で暮らしていると、日本食はもはやブームというより生活の一部になっていることを感じます。
大型ショッピングモールには複数の日本食チェーンが入っています。寿司、ラーメン、焼肉、しゃぶしゃぶ、居酒屋。選択肢は非常に豊富です。
今回の調査でも、日本食に対して否定的な意見はほとんど見られませんでした。
一方で興味深かったのは、「価格と料理の量のバランスをもっと良くしてほしいです。タイ料理と比べると、量が少ない割に価格が高いと感じることが多いです。」という声。
これは、日本食が既に日常的な選択肢になっているからこそ出てくる意見と言えるでしょう。もし日本食が特別なご褒美や高級料理として認識されているのであれば、価格に対する評価軸は異なります。
しかし現在のタイでは、「いつものランチ」「家族との外食」として日本食が選ばれる場面が増えています。
だからこそ、「値段に見合う量か」という非常に現実的な評価が行われるようになっています。
今回の調査で特に印象的だったのが韓国料理との比較です。
日本料理以外で人気の高い海外料理として挙げられたのは韓国料理でした。
その割合は93%。非常に高い支持率です。
しかし興味深いのは、その楽しみ方です。韓国料理は主に外食として消費されています。
・サムギョプサル。
・韓国鍋。
・チーズタッカルビ。
友人同士や家族で楽しむ体験型の外食として定着しています。
一方、日本の食文化は異なる形で浸透しています。
今回の調査では、自宅での日本食調理について、64.3%が「ソースや調味料だけ使う」と回答しました。
つまり韓国料理はレストランで楽しむもの。日本の味は家庭で活用するもの。そんな違いが見えてきます。
なぜタイ人は日本料理を作らず、日本の調味料だけを使うのでしょうか。理由は非常にシンプルです。便利だからです。
例えば、照り焼きソース。鶏肉にかけるだけで一品完成します。焼肉のたれ。豚肉炒めに加えるだけで味が決まります。カレールー。野菜や鶏肉と煮込むだけで食事になります。
一方、本格的な和食を再現するには、
・だし
・みりん
・醤油
・酒
など複数の調味料が必要です。
共働き世帯が多いタイでは、その手間は必ずしも歓迎されません。
重要なのは、「日本料理を作りたい」ではなく、「簡単においしくしたい」というニーズです。
さらに見逃せないのは、日本の調味料がタイ料理と非常に相性が良いことです。
現地スタッフに話を聞くと、照り焼きソースをガイヤーンに使う。焼肉のたれを豚肉炒めに使う。和風ドレッシングを揚げ物につける。カレールーをタイカレー風にアレンジする。
こうした使い方は決して珍しくありません。
タイ人は日本人のレシピを忠実に再現したいわけではありません。自分たちの食文化の中に取り込んでいます。
ここは食品メーカーにとって重要な視点です。
売るべきなのは「本格和食セット」ではなく、「タイ料理にも使える万能調味料」なのかもしれません。
もうひとつ興味深い回答がありました。
「タイでは日本食レストランが非常に多く、タイ人も日本食に慣れているため、各店が常に新しいメニューを提供している印象があります。」
このコメントからは市場の成熟が見えてきます。
以前であれば、「寿司がある」「ラーメンがある」それだけで話題になりました。
しかし今は違います。日本食レストランが増えたことで競争が激しくなり、
・新商品
・期間限定メニュー
・コラボ商品
などが次々に登場しています。
つまり、日本食そのものは既に浸透した市場なのです。
今後は、日本食を知ってもらう段階ではなく、どう差別化するかの段階に入っています。
今回の調査から見えてくるのは、「和食需要」よりも「和風需要」です。
これは大きな違いです。和食需要なら、
・寿司
・天ぷら
・親子丼
を売ることになります。
しかし和風需要なら、
・照り焼き味
・焼肉味
・カレー味
・だし味
を売ることになります。家庭内で使われているのは後者です。
つまりタイ市場では、料理カテゴリーではなく味覚のカテゴリーとして「和風」が受け入れられている可能性があります。
こうした背景を考えると、TikTokやInstagramでの販促方法も変わります。日本企業が作る動画は、「本格和食の作り方」になりがちです。
しかしタイ市場では、「タイ料理へのちょい足し」の方が響く可能性があります。
例えば、ガパオに焼肉のたれを加える、カオマンガイに和風ソースをかける、鶏肉に照り焼きソースを絡める。そんな動画の方が生活者は真似しやすいのです。
特にショート動画では、「材料3つ」「30秒で完成」「いつもの料理が変わる」という訴求が有効です。
今回の調査から見えてきたのは、日本食人気のさらに先にある消費実態でした。
韓国料理は93%という高い人気を誇りながら、主に外食として楽しまれています。
一方、日本の食文化は家庭の中に入り込み、64.3%が日本の調味料だけを利用しているという結果になりました。
これは、日本食が単なる海外料理ではなく、日常の味の選択肢として定着していることを意味します。
食品メーカーにとって重要なのは、「日本料理を広めること」ではなく、「日本の味をどう日常に溶け込ませるか」です。
タイ市場で今後伸びる可能性が高いのは、本格和食を再現する商品ではなく、タイ人の普段の食卓に自然に入り込める調味料かもしれません。
そしてその魅力を伝えるためには、TikTokやInstagramで「簡単」「便利」「すぐ真似できる」を見せることが、ますます重要になっていくでしょう。
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