こんにちは!クリスク・ジャパン編集部です。
訪日インバウンドが回復し、東南アジアからの旅行者も増加しています。「日本は清潔でマナーが良い国」というイメージを持って来日する人も多い一方で、実際に訪れてみて初めて感じる“違和感”も少なくありません。
今回は、クリスクタイ現地スタジアムへの独自調査をもとに、訪日タイ人が感じた困りごとの中でも特に注目された「飲食店のタバコ臭」にフォーカスします。
この記事では、以下のポイントを解説します。
・ なぜタイ人旅行者は日本の飲食店に違和感を持つのか
・ 東南アジアにおける“ルールと清潔さ”の実態
・ 文化ギャップを踏まえたインバウンド対策の具体施策
日本の強みである「清潔さ」は、本当に訪日客に伝わっているのでしょうか?
現地の視点から、そのギャップと対策を紐解いていきます。
クリスクタイ現地スタッフへの独自調査の中で、日本滞在中に感じた困りごととして浮かび上がったのが、「飲食店のタバコ臭」です。特に女性旅行者の約33%がこの点に言及しており、無視できない課題であることが分かりました。
日本では受動喫煙対策が進み、禁煙化も進行しています。しかし2022年時点では、レストランやカフェの約7割が禁煙である一方で、居酒屋やダイニングバーでは喫煙可能な店舗も多く、電子タバコを含めると「完全に煙を避けられる環境」はまだ限定的です。この「分煙であれば問題ない」という前提が、訪日客にとっては大きなズレとなります。
調査からは、「料理や接客には満足しているものの、タバコの匂いによって体験全体の印象が下がる」という傾向が見られました。特に分煙環境では匂いが残るケースも多く、違和感につながっています。日本では一般的な環境であっても、訪日客にとっては“選ばない理由”になり得る点は、見落とせないポイントです。
このギャップを理解するうえで重要なのが、タイの社会背景です。タイでは、空港・公共施設・レストラン・バー・ビーチなど、多くの公共空間で喫煙が原則禁止されています。違反した場合には5,000バーツ(約2.5万円)の罰金が科されることもあり、ルールは厳格に運用されています。
さらに、日本と大きく異なる点として、電子タバコは所持・使用ともに全面禁止です。旅行者であっても例外ではなく、「持ち込まない」という認識が一般的です。また、タイでは喫煙だけでなく、公共空間での振る舞い全体に対するルール意識が高いのも特徴です。
例えば飲酒に関しても、日本とは大きく異なります。タイではビールの販売時間が法律で制限されており、現在は試験的に緩和されているものの、つい先日までは午後2時〜5時は販売禁止、緩和された現在でも販売時間は、午前11時〜深夜0時までと明確に管理されています。コンビニ・スーパーも時間外は購入不可、公園など公共の場での飲酒は禁止と徹底されています。
つまりタイでは、「個人の自由」よりも「公共空間の秩序」が重視される社会です。こうした環境に慣れている旅行者にとって、日本の分煙や路上飲酒は、自由というよりも「配慮が足りない」と感じられる可能性があります。
タバコ臭が強い不満につながる背景には、価値観の違いがあります。東南アジアでは近年、健康志向やクリーン志向が急速に高まっており、煙や匂いは「避けるべきもの」として認識される傾向があります。
また、食事は単なる消費ではなく「体験」として重視されます。料理の香りや空間を楽しむ中で、タバコの匂いが混ざることは、その体験価値を大きく損ないます。特に女性や若年層はこの傾向が強く、口コミやSNS評価にも影響しやすいポイントです。
つまり、タバコ臭の問題は単なる設備の問題ではなく、顧客体験そのものを左右する要素として捉える必要があります。
今回のテーマはタバコですが、本質は「文化ギャップ」です。そしてそのギャップは、日本に対する期待値によってさらに強まっています。
タイをはじめとする東南アジアでは、日本発の飲食チェーンが広く展開されています。
「大戸屋」「やよい軒」「吉野家」「すき家」「かつや」「ペッパーランチ」「一風堂」などは、現地でも人気の高いブランドです。これらの店舗では、清潔な店内環境やオペレーションの整備に加え、禁煙が徹底されているケースが多く、「日本の飲食店=清潔で安心できる場所」という認識が形成されています。
そのため、日本を訪れた際に居酒屋などで喫煙可能な環境に遭遇すると、「日本なのに、なぜこのような環境なのか」という違和感につながります。さらに、日本では一般的な路上飲酒も、タイでは一般的ではありません。販売時間の制限や公共空間での飲酒禁止など、行動に対するルールが明確に存在しています。
また、マレーシアやインドネシアといったイスラム圏では、宗教的背景から飲酒や行動に制約があり、公共空間での配慮がより強く求められます。シンガポールではポイ捨てや公共マナーに対して厳しい罰則があり、街の清潔さは制度として維持されています。
このように、現在の東南アジアは「自由で緩い地域」ではなく、ルールと清潔さに敏感な社会へと変化しています。その中で日本を見ると、「全体としては清潔だが、一部に違和感がある国」として認識されるケースもあります。
こうした文化ギャップを踏まえると、重要なのは単なる設備対応ではなく、「安心して選べる理由」をどう設計するかです。
まず重要なのは、喫煙環境を明確に伝えることです。訪日客は、入店前の段階で「この店は安心して利用できるか」を判断しています。禁煙かどうか、分煙なのかが分かりにくいと、それだけで来店を避けられる可能性があります。
具体的には、
といった「事前に分かる状態」を作ることが重要です。特にタイ人旅行者にとっては、「完全禁煙であるかどうか」が重要な判断基準になるケースも多く、分煙では不十分と捉えられる可能性があります。
次に有効なのが、周辺の完全禁煙店舗の情報提供です。すべての施設で完全禁煙化が難しい場合でも、「近くに安心して食事できる場所がある」と分かるだけで、満足度は大きく向上します。
具体的には、
などが有効です。特に女性旅行者やファミリー層にとって、「安心して食事できる環境」は重要な価値になります。
最後に重要なのが、「クリーンであること」の可視化です。
例えば、
といった情報発信が、訪日客の不安を事前に解消します。東南アジアでは「安心・清潔であること」が店舗選びの重要な基準となっているため、こうした情報設計は集客にも直結します。
これらの施策は、大きな投資を必要としませんが、「安心して選べる理由」となり、満足度やリピート率の向上につながります。
日本は清潔でマナーが良い国として認識されていますが、訪日客の視点では一部にギャップが存在します。特に飲食店の喫煙環境は、単なる設備の問題ではなく、日本に対する期待とのズレによって強く認識される課題です。
東南アジアでは、日本ブランドの飲食店を通じて「清潔でルールが徹底された日本」のイメージがすでに形成されています。そのため、日本国内で異なる体験をした際の違和感はより大きくなります。さらに、東南アジア全体でルール意識やクリーン志向が高まっている今、従来の「日本は清潔だから大丈夫」という前提は通用しなくなりつつあります。
加えて見落とせないのが、東南アジアにおけるSNSの高い普及率です。タイをはじめとする各国では、日常的にSNSを通じて飲食店や観光地の情報を収集し、口コミやレビューが意思決定に大きな影響を与えています。
そのため、たとえOTA(予約サイト)上で禁煙情報を掲載していたとしても、SNS上で「煙が気になる」「匂いが強い」といった投稿が拡散されれば、それが来店判断に直結する可能性があります。つまりこれからのインバウンド対策においては、単に設備を整えるだけでなく、訪日客にどのように伝わるかまで設計することが不可欠です。
禁煙・分煙の情報やクリーンな環境を、OTAだけでなくSNSや口コミ、検索結果を通じて一貫して伝えていくこと。そして「安心して利用できる」という認識を事前に形成することが、選ばれる施設の条件になっていきます。小さな違和感が可視化されやすい時代だからこそ、その違和感を未然に防ぐ「情報設計」こそが、これからのインバウンド戦略の鍵となるでしょう。
現在クリスクアジアでは、タイをはじめとした東南アジア各国に現地スタッフを配置し、生活者視点に基づいたインバウンド戦略支援を行っています。
特に以下のような課題をお持ちの企業様におすすめです。
・訪日客のSNS投稿を増やしたい
・店頭体験を拡散につなげたい
・現地ユーザーの行動に基づいた施策を設計したい
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