みなさんこんにちは!クリスクアジアの上田です。
当社はタイ・バンコクに子会社(Clisk (Thailand) Co., Ltd.)を有しており、現地にオフィスを構えています。私自身も2025年5月下旬に1週間、現地オフィスを訪問し、広告や商業施設の実態を視察してきました。
今回はその出張を通じて感じた、“リアルな現地のマーケティング風景”をご紹介します。特に印象に残ったのは、次のようなポイントです。
現地に足を運ばなければ分からない、マーケティング施策と生活者体験の融合。そのリアルな気づきから、タイ市場における効果的なプロモーション設計のヒントをお届けします。
私がバンコクの街を歩いていて目に飛び込んできたのが圧倒的なサイズ感の屋外広告です。
BTS(高架鉄道)の高架下、幹線道路沿いのビル外壁など、街のあらゆる場所に大型サイネージが設置され、遠くからでもはっきりと視認できるほどの存在感があります。
印象的だったのは、ショッピングモールの外壁が一貫したデザインで展開されていた事例です。上手く施設全体に設計されており、統一感のあるメッセージが伝えられていました。
このように、デザイン性に優れた屋外広告が多く見られることからも、バンコクにおける広告クオリティの高さがうかがえます。
日本でもこのような広告はありますが、バンコクとの大きな違いは、広告の規模と広告の数です。私はこれまでにシンガポール、マレーシア、ベトナムなどにも訪れたことがありますが、特にバンコクはその傾向が顕著だと感じました。
また、私はバンコク市内の移動でGrabの自動車やバイクを中心に使用していましたが、特に印象的だったのが、BTS(高架鉄道)の高架下に掲示された大量の屋外広告です。多くの人々が通勤や移動でBTS周辺を利用するため、無意識のうちに広告に触れる導線が巧みに設計されていることがわかります。
さらに、共感を呼ぶキャッチコピーやビジュアルにインパクトのある広告は、道ゆく人々が思わず写真に撮り、InstagramやTikTokなどのSNSにシェアすることも珍しくありません。オフラインとオンラインが自然に連動する、現代的な広告のあり方がそこにはありました。
週末になると多くのタイ人は、ショッピングモールで過ごす傾向があります。BTS周辺を中心に数多くの商業施設があるため、買い物をする場所には困りません。
バンコク都心部では、駅直結型のショッピングモールが多く、移動や天候に左右されずに買い物が楽しめるのも大きな魅力です。
実際に訪れたモールでは、施設内のディスプレイは多言語対応されていました。買い物中にはタイ語だけでなく多くの言語が飛び交っており、まさに国際的なショッピング環境という印象を受けました。
今回訪れたのは、CentralWorld(セントラルワールド)やEMSPHERE(エムスフィア)といったバンコク中心部の大型モールです。いずれも吹き抜けの高い天井と広々とした通路が印象的で、全体として開放感のある空間づくりがなされていました。
館内には大型ディスプレイ広告も設置されており、各店舗がポップな装飾で自社商品をPRする様子が随所に見られました。
このように、オフラインとオンラインをうまく組み合わせることで、SNS上でのエンゲージメントを高めるうえで重要な「楽しさ」や「共感」を通じた拡散・シェアが生まれていると感じます。
やはり、SNS施策の効果を最大化するためには、現地でのオフライン体験を含めた総合的な設計が欠かせません。
バンコクのショッピングモールは全体として非常に盛り上がっている印象を受けました。実際に買い物をしてみて、「楽しい」と感じる場面が多くありました。
その背景には、商業施設そのもののクオリティの高さや開放的な空間設計に加え、エンタメ性の高い演出や装飾などが巧みに取り入れられている点が挙げられます。
タイ政府は2016年に「国家電子決済マスタープラン」を策定し、その一環としてキャッシュレス社会を推し進めています。バンコクの街中のコンビニやカフェ、モール内の店舗などで、QRコードが設置されており、実際に街を歩いていても、その浸透の高さを肌で感じました。
個人的に興味深かったのは、バンコクのショッピングモールにあるフードコートでは、プリペイドカードで支払うのが一般的であったことです。フードコート付近のカウンターでカードを購入し、キャッシュをチャージすることで利用可能です。
注文時には、利用した金額が自動的に残高から差し引かれる仕組みになっており、現金の受け渡しを一切行わずにスムーズに注文が完了します。旅行者でもそのプリペイドカードは簡単に作成できるため、非常に便利な仕組みだと感じました。
冒頭でも少し触れましたが、今回の出張ではバンコク市内の移動にGrab(グラブ)を主に利用しました。交通費の支払いはクレジットカードに加えて、各種キャッシュレス決済が基本となっており、現金を使う機会はほとんどありません。
現地での移動はスマートフォンのアプリひとつで完結し、わざわざ現金を準備する必要もありません。
特に外国人旅行者にとっては、現金の受け渡しが不要になることで支払いミスのリスクも減り、より安心して利用できると感じました。
東南アジアの中でも、バンコクは特にデジタル化の進んだ都市のひとつです。
こうした仕組みの浸透ぶりは、実際に現地を訪れてこそ肌で実感できるものだと思います。
バンコク出張を通じて、屋外広告の普及状況やクオリティの高さ、さらにショッピングモール内の広告展開など、現地に根ざしたマーケティングの工夫を数多く目にすることができました。街中にはインパクトのある大型屋外広告が並び、商業施設の館内にも多くのサイネージやポップが設置されており、日常的に広告が視界に入る環境が整っています。
特に印象的だったのは、屋外広告の存在感、ショッピングモールでのSNS連動施策、そしてキャッシュレスを前提とした購買体験の3点。
オフラインとデジタルが自然に融合したマーケティングの現場を、肌で感じることができました。
こうした施策は、単に目新しいだけでなく、「楽しさ」「共感」「利便性」といったユーザー視点が巧みに設計されており、結果としてSNS上での拡散にもつながっています。
オンライン拡散の起点となる“リアルな体験”の重要性を、あらためて実感する機会となりました。
見た目の派手さやトレンドに惑わされず、「なぜ現地で支持されているのか?」という背景を読み解き、生活文脈に即した設計が成果を左右する。そんな気づきを得られた短いながらも濃密な滞在でした。
クリスクアジアでは、タイをはじめとする東南アジア各国に現地スタッフを配置し、生活者視点に基づいたマーケティング支援を行っています。現地の文化や習慣を踏まえた施策設計から実行まで、一気通貫でご相談いただけます。
以下のような方は、ぜひお気軽にお問い合わせください