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ベトナム語って実は漢字文化圏!日本語と発音が似ている言葉も

中国と強いつながりがあるベトナム文化には、日本人があまり知らないことも多くあります。特にベトナムの公用語が「ベトナム語」であることを知らない日本人は、意外と多いのではないでしょうか? 昔は中国の影響から漢字が使われていたベトナムが、現在では使わなくなった理由をクリスク・ベトナムのリエンが説明します。

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こんにちは、クリスク・ベトナムのリエンです。

筆者はこれまで、「ベトナム語って英語(フランス語)なの?」と、何回も質問されてきました。そのたびに、ベトナムの公用語は、「ベトナム語」であることを知らない日本人は意外と多いのだなと感じました。

そして、ベトナム語はアルファベットのような文字で書かれてはいるももの、実は漢字文化圏であるということを知っている方は、より少ないのではないでしょうか。

今回は、そんなベトナム語と漢字の関係について詳しく紹介してみたいと思います。

中国文化の影響を受けた北属期

現在のベトナム語はラテン語のアルファベット文字で表記されています。しかし、大昔のベトナムでは独自の言葉はあったものの、文字は存在しませんでした。

北ベトナムは、紀元前111年〜938年の約1000年間、中国から属国のように支配されました。「北属期(北=中国)」と呼ばれるこの期間、ベトナムでは中国から儒学、仏教、科挙といったさまざまな文物を吸収し、日本や朝鮮などと同様に中国語及び漢字文化の強い影響を受けたのです。

ベトナム独立で揺れる文字言語

西暦938年、ベトナムは中国との大戦に勝利し、正式に中国の千年支配が終わりました。しかし独立後も、公式文書では中国の漢字を使用し、話す言葉はベトナム語の言葉のままという期間が続きました。

15世紀以前、「なぜベトナム国内で漢字を使わないといけないのか?」という意見が出ました。そこで、漢字で表現できないベトナムの言葉も多かったこともあり、新しい文字を作ることに。

これにより、漢字起源の言語でありながら、漢字を色々変更した独自の文字、「Chữ Nôm(チュ・ノム)」を作り出し漢字と併用されることになったのです。

「Chữ Nôm(チュ・ノム)」を使って書かれた文字

Chữは「字」、Nômは「ベトナム」という意味です。Nôm字はおそらく昔の日本語の和字と同じようなもので、実際は漢字より複雑で一般層にはあまり普及しておらず、識字率は低い状態が続いていました。

そのため、当時はほとんどの一般人が漢字もNôm字も読み書きができませんでした。

ベトナム語文字はなぜ今の形になった?

現在のベトナム語は、17世紀の初頭、西洋のキリスト教(カトリック)活動やフランス植民地時代を経て、ポルトガル宣教師のFrancesco de Pinaがラテン語アルファベット表記を使ってを表現する「アンナム語(安南語)」を生み出し、公用語にしたことに由来します。

また、同じ頃、フランス人宣教師のAlexandre de Rhodesが、声調(中国語などで、意味を区別するための音節ごとの音の高低・上がり下がり)をつける文字を作り上げたのです。その後、この言語は、(ベトナムの)国語と呼ばれるようになりました。

漢字(Nôm)字が分からない国民も多かったですが、このアルファベットを使った文字はたった3ヶ月で読み書きできるようになったと言います。

漢字とNôm字はどうなった?

その後、アルファベット表記の国語を使用する方針が拡大され、学校でも本格的に教えるようになりました。

そのため、漢字とNôm字は徐々に消えていきました。それ以降、公式な表記文字として漢字は使われていません。

今では、漢字の読み書きができるのは日本語や中国語を勉強しているベトナム人だけです。最近、書道の作品であっても、中国語の代わりにベトナム国語の字を使って書く傾向も広く普及しています。

現代のベトナムにも残る漢字文化「漢越語」

中国語をベトナム国語に完全に置き換えた現在でも、実は中国語の影響はまだはっきりと残っています。

漢字起源の言葉は「漢越語(かんえつご)」と呼ばれ、以下のような特徴があります。

  • 意味はほぼ中国語と一緒
  • 表記はアルファベット
  • 発音はベトナムの伝承漢字音

つまり漢越語は、意味は漢字の通り、表記はアルファベット、発音はベトナム語のことです。

どれくらい使用されているかというと、ベトナム人の名前、地名はほとんどが漢越語であるほか、ベトナム単語の30%〜60%ほどを占めているとも言われています。

その一方で、ベトナム文化により元の意味と大きく変わった語彙もあり、ベトナム人には、中国語という意識はほとんどありません。アルファベットで発音だけを書くため、本当の意味を知らずに誤用したりする場合も珍しくありません。

漢字・漢越語使用上の問題

ベトナムに進出した中国や台湾系の会社は、会社名を表すとき、中国語とローマ字を両方記載する傾向がありますが、ベトナム人の消費者の多くは恐らくローマ字しか覚えられません。

「高島屋」、「Muji」など、日本語であればローマ字にしても簡単に覚えることができます。しかし、中国語のピンイン(中国語で音節を音素文字に分け、ラテン文字化して表記する発音表記体系のこと)を使った長い名称を覚えることが苦手な人たちもいます。

日本語と発音が似ている単語

ベトナム人が日本語を勉強する時、漢越語の発音と意味が分かれば覚えやすくなるかもしれません。それでは、現在もベトナムで使われている日本語と同じ意味を持ち、似た発音のベトナム語がたくさんありますので見ていきましょう。

いかがでしょうか。発音がそっくりのものもありますね。

まとめ

ベトナム語には6つの声調(アクセント)があるため、同音異義語が日本語ほど多くありません。ですから、漢字がなくても話す言葉を全て表すことができます。また、日本人と違い、現代のベトナム人にとって漢字は自国語のような身近な存在ではありません。

ベトナムではもう漢字を使わないものの、漢越語はベトナム語の中で否定できない大切な役割を果たしています。

(編集:きたざわあいこ)

※本文内で引用されている資料・データ、登場する人物の所属名・役職名などは掲載当時のものです。

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この記事を書いたのは

クリスク・ベトナム マネージャー
東京大学留学後、ベトナム大手IT企業で仕様書の翻訳や通訳を担当。クリスク・ベトナムで広告運用・インフルエンサーマーケティング・マーケットリサーチなどのデジタルマーケティング支援に携わるほか、ベトナム大手出版社でマンガ、小説のベトナム語翻訳も手掛ける。趣味は映画鑑賞、コンサート鑑賞、山登り。

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